賢い犬ランキングと飼いやすさの真実｜知能が高い犬種の特徴と共存のコツ

「犬を飼うなら、賢い子が飼いやすいだろうか？」そう考えていませんか？

確かに、賢い犬はしつけを覚えるのが早く、飼い主との深いコミュニケーションが可能です。しかし、「賢い＝初心者でも簡単」とは限りません。

知能が高いゆえに退屈を嫌い、時には飼い主の裏をかくような行動をとることもあります。

この記事では、世界的に権威あるスタンレー・コレン博士の研究に基づく「最も賢い犬種ランキング」を紹介するとともに、

日本の住環境でも飼いやすい賢い犬種や、才能を伸ばすための正しい接し方を徹底解説します。

あなたのパートナー選びや、愛犬との絆を深めるヒントが必ず見つかります。

賢い犬とは？単に「言うことを聞く」だけではない知能の正体

「賢い犬」と聞いて、あなたはどのような姿を思い浮かべますか？

警察犬のように命令を忠実に守る姿でしょうか。それとも、人間の言葉を理解しているような振る舞いでしょうか。

実は、犬の「賢さ」は一つではありません。カナダの心理学者スタンレー・コレン博士は、著書『The Intelligence of Dogs（デキのいい犬、わるい犬）』の中で、犬の知能を大きく3つに分類しています。

スタンレー・コレン博士が提唱する「3つの知能」

犬の知能は、人間のようにIQだけで測れる単純なものではありません。それぞれの犬種が持つ歴史や役割によって、得意とする賢さの分野が異なります。

• 本能的知能（Instinctive Intelligence）

  その犬種が本来持っている役割（牧羊、狩猟、番犬など）を遂行する能力です。教えられなくても羊を追ったり、獲物を見つけたりする才能を指します。

• 適応的知能（Adaptive Intelligence）

  自ら考え、問題を解決する能力です。

  「ドアノブを回せばドアが開く」「おやつがここにある」といったことを経験から学び、環境に適応する力です。

• 服従的知能（Working and Obedience Intelligence）

  人からの指示を理解し、従う能力です。

  一般的に「賢い犬ランキング」で評価されるのは、主にこの「服従的知能」です。新しいコマンドを覚える速さや、指示に従う確率で測定されます。

「賢い犬＝飼いやすい」とは限らない理由

ランキング上位の犬が、必ずしもすべての人にとって「飼いやすい犬」であるとは限りません。ここが非常に重要なポイントです。

賢い犬ほど、飼い主を見抜く力も優れています。

飼い主の指示に一貫性がなかったり、リーダーシップが不足していたりすると、「この人の言うことは聞かなくていい」と判断してしまうことがあります。

また、適応的知能が高い犬は、いたずらの方法もすぐに学習します。

• 退屈への耐性が低い（刺激がないとストレスを感じる）

• 飼い主の感情や隙を敏感に察知する

• 誤った行動（吠えればおやつがもらえる等）も即座に覚える

賢い犬を迎えるということは、飼い主自身も「賢いリーダー」として成長する必要があるのです。

【世界ランキング】最も賢い犬種TOP10（スタンレー・コレン版）

ここでは、スタンレー・コレン博士の研究に基づき、「新しいコマンドを5回以下の繰り返しで理解し、95％以上の確率で最初の指示に従う」と評価された、最上位クラスの賢い犬種トップ10を紹介します。

1位：ボーダー・コリー（圧倒的知能と運動能力）

「犬のアインシュタイン」とも称される、世界で最も賢い犬種です。

元々は牧羊犬として、広大な牧場で羊の群れをコントロールしていました。人間の言葉やジェスチャーを驚くほどの精度で理解し、複雑なタスクもこなします。

高い運動能力とスタミナも併せ持っているため、アジリティなどのドッグスポーツでは無敵の強さを誇ります。

2位：プードル（全サイズ共通の高い学習能力）

日本でも大人気のプードルは、見た目の愛らしさだけでなく、非常に高い知能を持っています。

スタンダード、ミニチュア、トイとサイズに関わらず、学習能力と社交性に優れています。

サーカス犬として活躍してきた歴史もあり、人間を喜ばせることが大好きです。

状況判断能力が高く、空気を読むのが得意な個体が多いのも特徴です。

3位：ジャーマン・シェパード（忠誠心と作業意欲）

警察犬、麻薬探知犬、災害救助犬として世界中で活躍する万能犬です。

（※かつては盲導犬としても活躍しましたが、現在はその作業意欲と身体能力を活かした使役犬としての活躍が主です）

高い知能に加え、強靭な肉体と揺るぎない忠誠心を持っています。飼い主のためなら危険を顧みずに行動できる勇気があり、しつけに対しても非常に意欲的です。

ただし、防衛本能が強いため、正しい社会化トレーニングが不可欠です。

4位〜10位の犬種一覧表

トップ3に続く、天才的な頭脳を持つ犬種たちです。

日本の住宅でも飼いやすい！賢い小型犬・中型犬おすすめ3選

ランキング上位の大型犬は、日本の住宅事情では飼育が難しい場合もあります。

ここでは、マンションや都市部の戸建てでも飼いやすく、かつ知能が高い小型犬・中型犬を厳選して紹介します。

トイ・プードル：抜け毛が少なく初心者にも最適

賢さランキング2位のプードルを小型化したトイ・プードルは、日本の飼育環境に最も適した「賢い犬」と言えるでしょう。

• メリット：抜け毛や体臭がほとんどなく、室内飼育に最適。しつけの飲み込みが早く、トイレトレーニングなどもスムーズに進みやすいです。

• 注意点：賢いがゆえに甘え上手で、要求吠えを学習してしまうことがあります。可愛さに負けず、毅然とした態度で接することが大切です。

パピヨン：状況判断能力に長けた「小さな才女」

大きな蝶のような耳が特徴のパピヨンは、小型犬ながら大型犬並みの知能と運動神経を持っています。

• メリット：人の言葉のニュアンスまで聞き分けると言われるほど理解力が高いです。活発で明るく、ドッグスポーツを楽しみたい人にも向いています。

• 注意点：警戒心がやや強く、神経質な一面が出ることがあります。子犬の頃から多くの人や犬に会わせ、社会性を育む必要があります。

ミニチュア・シュナウザー：忍耐強く家族想いな性格

「その思慮深さから、愛好家の間では『人間の頭脳を持った犬』と比喩されることもあるほど、賢い犬種です。

メリット：忍耐強く、無駄吠えが比較的少ない傾向にあります（個体差あり）。家族に対して非常に愛情深く、子供の良きパートナーにもなれます。抜け毛が少ないのも魅力です。

注意点：頑固な一面があり、納得できない指示には従わないことがあります。テリトリー意識が強いため、番犬的な行動が出すぎないようコントロールが必要です。

賢い犬を飼うメリットと知っておくべき「落とし穴」

賢い犬との生活は刺激的で楽しいものですが、同時に特有の難しさも伴います。

ここでは、メリットとデメリットを比較し、あなたが賢い犬に向いているかどうかを確認してみましょう。

【メリット】意思疎通がスムーズでトレーニングが楽しい

最大のメリットは、コミュニケーションの質の高さです。

• しつけがスムーズ：お座りや待てなどの基本コマンドを短期間で習得します。

• 空気を読む：飼い主が悲しんでいるときに寄り添ったり、忙しいときは静かにしていたりと、状況に合わせた行動がとれます。

• 多様な遊び：フリスビー、アジリティ、複雑なトリック（芸）など、高度な遊びを一緒に楽しむことができます。

【注意点】退屈させると「破壊行動」や「知恵比べ」が始まる

賢い犬にとって、「退屈」は最大の敵です。

仕事や課題を与えられないと、自ら仕事（多くの場合、飼い主にとって困ること）を見つけ出します。

• イタズラの高度化：ゴミ箱の開け方を学習したり、家具を戦略的に破壊したりします。

• 飼い主を試す：「どこまで許されるか」「誰がこの家のリーダーか」を常に観察しています。甘やかすと、あっという間に主従関係が逆転します。

• 神経質になりやすい：刺激不足はストレスとなり、無駄吠えや常同行動（同じ動作を繰り返す）につながることがあります。

【比較表】賢い犬に向いている人・向いていない人

賢い愛犬の才能を伸ばす！脳を刺激するトレーニングと遊び

賢い犬を満足させるには、肉体的な運動だけでは不十分です。「メンタル・エクササイズ（頭の体操）」を取り入れ、脳に適度な疲労感と満足感を与えることが重要です。

散歩だけでは不十分？「ノーズワーク」と「知育玩具」

雨の日や、忙しくて長時間の散歩に行けない日でも、頭を使わせることで犬は満足します。

• ノーズワーク（宝探しゲーム）

  部屋のあちこちにおやつを隠し、嗅覚を使って探させるゲームです。犬の本能的欲求を満たし、集中力を養います。

• 知育玩具（コングなど）

  中にフードを詰め、どうすれば取り出せるかを考えさせるおもちゃです。留守番中の退屈しのぎにも最適です。

• トリック（芸）の習得

  「ハイタッチ」や「スピン」など、新しい技を教える過程そのものが、最高の脳トレになります。

信頼関係を崩さないための「一貫性」のあるしつけ

賢い犬は、ルールが曖昧であることを嫌います。

「昨日はソファーに乗ってよかったのに、今日はダメ」というような矛盾は、犬を混乱させ、不信感を招きます。

• 家族全員でルールを統一する

• できたことは大げさなほど褒める

• 指示は短く、明確な言葉で伝える

常に公平で頼れるリーダーとして振る舞うことで、賢い愛犬はあなたに全幅の信頼を寄せ、その素晴らしい能力を最大限に発揮してくれるようになります。

よくある質問（FAQ）

初心者でも飼いやすい賢い犬種はどれですか？

トイ・プードルやパピヨンがおすすめです。

これらは賢いだけでなく、人間に対して友好的で、サイズも扱いやすいためです。ただし、賢い分だけ「甘やかし」は禁物です。最初からメリハリのある接し方を心がければ、最高のパートナーになります。

雑種（ミックス犬）は賢いですか？

雑種も非常に賢い子が多いです。

特定の作業能力に特化した純血種とは異なり、生き抜くための「適応的知能」が高い傾向にあります。両親の犬種がわかれば、ある程度の性格や能力を予測することも可能です。

賢い犬は留守番が得意ですか？

一概に得意とは言えません。

賢い犬は退屈に弱く、寂しがり屋な一面を持つことも多いです。

長時間の留守番はストレスになり、破壊行動につながる可能性があります。

知育玩具を活用したり、散歩で十分にエネルギーを発散させてから出かけるなどの工夫が必要です。

賢い犬種ランキングに入っていない犬は頭が悪いのですか？

決してそうではありません。

このランキングはあくまで「人の指示に従う能力」に焦点を当てたものです。

例えば、柴犬などは独立心が強く、指示に盲目的に従わないためランキングは控えめですが、自分で状況を判断する能力は非常に高いです。

賢い犬のしつけで一番大切なことは何ですか？

「信頼関係」と「一貫性」です。

賢い犬は、飼い主をよく観察しています。「この人は信頼できるリーダーだ」と認めてもらえれば、驚くほどの学習能力を発揮します。

逆に、力任せのしつけや矛盾した態度は、賢い犬の心を閉ざしてしまいます。

まとめ

賢い犬との生活は、単に「しつけが楽」というだけでなく、お互いの意思が通じ合う深い喜びがあります。

• 賢さには種類がある：本能、適応、服従の3つの知能を理解する。

• ランキング上位：ボーダー・コリー、プードル、ジャーマン・シェパードなどが代表格。

• 飼いやすい賢い犬：トイ・プードル、パピヨン、ミニチュア・シュナウザーなどが日本の環境におすすめ。

• 飼育のポイント：肉体的な運動だけでなく、頭を使わせる遊び（脳トレ）が必須。

• 注意点：賢いからこそ、飼い主の一貫したリーダーシップが求められる。

「賢い犬」を迎えることは、あなた自身も「賢い飼い主」になる旅の始まりです。

愛犬の知的好奇心を満たし、信頼関係を築くことで、かけがえのないパートナーとしての絆を深めていってください。