モルモットを家族に迎えようと考えたとき、まず驚くのがその種類の多さではないでしょうか。
ペットショップで見かけるおなじみの姿から、まるで別の生き物のような無毛種、そして床まで届く豪華なロングヘアを持つ種類まで、モルモットの世界は驚くほど多様です。
しかし、見た目だけで選んでしまうと、後々のブラッシングの手間や温度管理の難しさに戸惑うことになりかねません。
モルモットは種類によって、性格の傾向や必要なお手入れの頻度が大きく異なります。
この記事では、初めてモルモットを飼う方はもちろん、2匹目、3匹目を検討している方に向けて、現在日本で入手可能な主要な種類から珍しい種類までを網羅的に解説します。
あなたのライフスタイルに最適な「運命の1匹」を見つけるための参考にしてください。
もくじ
モルモットの種類は大きく分けて4タイプ
モルモットの種類を理解する上で、最も分かりやすいのが「毛の長さと質」による分類です。
現在、公式に認められている種類や、愛好家の間で親しまれている種類は、主に以下の4つのカテゴリーに分けられます。
どの種類も「モルモット」という動物であることに変わりはありませんが、毛質の違いはそのまま「飼育の手間」に直結します。
例えば、長毛種はブラッシングを怠ると毛が絡まって皮膚病の原因になりますし、無毛種は室温の変化が命取りになることもあります。
まずはそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
初心者でも飼いやすい「短毛種」の代表格
短毛種は、毛が短くまとまっているため、ブラッシングの頻度が少なく済み、体調の変化にも気づきやすいのが大きなメリットです。
イングリッシュ(アメリカン)
モルモットと聞いて誰もが思い浮かべる、最もポピュラーな種類です。アメリカンと呼ばれることもあります。
毛が短く滑らかで、つむじが一つもないのが特徴です。
性格は非常に穏やかで人懐っこく、モルモット飼育が初めての方には最もおすすめの種類と言えます。
カラーバリエーションも豊富で、三毛(タートイズシェル&ホワイト)や茶白、黒白など、お気に入りの色合いを見つけやすいのも魅力です。
価格も比較的安価で、全国のペットショップで出会うことができます。
クレステッド(アメリカン・クレステッド / イングリッシュ・クレステッド)
短毛で滑らかな毛質ですが、頭のてっぺんに「クレスト」と呼ばれる一箇所だけのつむじがあるのが特徴です。まるで王冠をかぶっているように見えることから、この名がつきました。
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アメリカン・クレステッド:体の色に関わらず、頭のつむじだけが白いもの
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イングリッシュ・クレステッド:体とつむじの色が同じもの
性格はイングリッシュに近いですが、やや個体差があり、知的好奇心が強い個体が多い傾向にあります。
見た目にアクセントがありつつも、お手入れは短毛種と同様に楽なため、非常に人気があります。
個性派揃い!「巻毛・縮毛種」の特徴と魅力
「普通の短毛では物足りない」「ぬいぐるみのような質感が好き」という方に支持されているのが、巻毛や縮毛を持つ種類です。
アビシニアン
「巻き毛モルモット」として最も有名な種類です。全身に「ロゼット」と呼ばれるつむじが左右対称に並んでおり、毛が逆立っているようなユニークな外見をしています。
性格は活発で好奇心旺盛、感情表現が豊かな個体が多いとされています。
イングリッシュに比べると少し「おてんば」な面がありますが、それもまた魅力の一つです。
毛の間にゴミが溜まりやすいため、短毛種よりはこまめなチェックが必要ですが、本格的なトリミングは不要です。
テディ
その名の通り、テディベアのような縮れた短い毛が密集している種類です。
毛が立ち上がっているため、触り心地は少しザラッとしていますが、弾力があり非常に可愛らしい質感です。
テディは穏やかで大人しい性格の個体が多く、抱っこなどのスキンシップを好む傾向があります。
ただし、乾燥肌になりやすいという体質的な特徴があるため、皮膚の健康状態には注意が必要です。
レックス
テディと非常によく似ていますが、遺伝学的には別の種類です。テディよりも毛が少し硬めで、ひげまで縮れているのが特徴です。
レックスはモルモットの中でも体が大きくなりやすく、どっしりとした存在感があります。
性格は非常に辛抱強く、多頭飼いにも向いていると言われています。
優雅で美しい「長毛種」の種類とお手入れ
長毛種は、その美しさから「モルモットの貴公子」とも呼ばれます。
しかし、毛は放っておくと際限なく伸び続けるため、飼い主には相応の覚悟と愛情が求められます。
ペルビアン(アンゴラ)
長毛種の中で最も代表的な種類です。
頭からお尻にかけて、長く滑らかな毛が伸びます。特筆すべきは、頭から顔の方へ毛が流れるため、どちらが顔か分からなくなるほどのボリューム感です。
性格は非常に落ち着いていて、ブラッシングの時間をおとなしく過ごしてくれる子が多いです。
ただし、毎日ブラッシングをしないと毛玉になり、皮膚が蒸れて炎症を起こす可能性があるため、お手入れを「趣味」として楽しめる飼い主に向いています。
シルキー(シェルティー)
ペルビアンと似ていますが、毛の流れが異なります。シルキーは顔周りの毛は短く、頭から後ろに向かって全ての毛が流れるように伸びていきます。
そのため、美しい「たてがみ」があるように見えます。
毛質はその名の通りシルクのように柔らかく、光沢があるのが特徴です。
ペルビアンよりも顔がはっきり見えるため、表情を楽しみながら長毛種を飼いたい方に適しています。
テクセル
「縮れ毛」と「長毛」を掛け合わせた、非常に豪華な見た目の種類です。
シルキーの被毛をそのままパーマにかけたような、カールした長い毛を持っています。
テクセルは長毛種の中でも特にお手入れの難易度が高い種類です。
カールした毛はゴミを巻き込みやすく、毛玉もできやすいため、こまめなカットやケアが欠かせません。
その分、完璧にケアされたテクセルの美しさは格別です。
コロネット
シルキーの頭に、クレステッドのようなつむじ(クレスト)が一つある種類です。
長い髪にヘアアクセサリーをつけているような、非常にチャーミングな姿をしています。
珍しい種類と無毛種(ヘアレス)
近年、アレルギー対策や独特の見た目の可愛さから注目を集めているのが、毛のないモルモットたちです。
スキニーギニアピッグ
鼻先や足先に少しだけ産毛がありますが、それ以外の体はほとんど毛がない種類です。その姿から「ミニカバ」と呼ばれることもあります。
最大の注意点は「温度管理」です。
毛がないため体温を奪われやすく、冬場の寒さだけでなく、夏場の冷房の風にも極めて弱いです。
また、皮膚が露出しているため傷つきやすく、床材にも気を配る必要があります。
アレルギーで通常のモルモットを飼えない人にとっては救世主のような存在ですが、飼育難易度は中級者以上と言えるでしょう。
ボールドウィン
スキニーと異なり、生まれたときは全身に毛が生えていますが、成長とともに毛が抜け落ち、最終的に完全な無毛になる種類です。非常に珍しく、日本での流通量は極めて少ないです。
ルンカリア
スウェーデン原産の比較的新しい種類です。テクセルよりもさらに硬く、ゴワゴワとした「コークスクリュー状」の巻き毛が特徴です。
濡れてもカールが取れないほど強力な巻き毛を持っており、ワイルドな外見を好むファンに支持されています。
モルモットの種類別・比較表
それぞれの種類の特徴を一覧表にまとめました。自分のライフスタイルや希望する条件と照らし合わせてみてください。
種類別の特徴と飼育難易度の比較表
| 種類 | 毛のタイプ | ケアの手間 | 性格の傾向 | 初心者おすすめ |
| イングリッシュ | 短毛・滑らか | 低 | 穏やか・人懐っこい | ◎(最適) |
| クレステッド | 短毛・頭につむじ | 低 | 好奇心旺盛 | ◎ |
| アビシニアン | 巻毛・全身につむじ | 中 | 活発・表情豊か | 〇 |
| テディ | 縮毛・密集 | 中 | 非常に温厚 | 〇 |
| ペルビアン | 長毛・直毛 | 高 | 穏やか・シャイ | △(中級〜) |
| シルキー | 長毛・光沢 | 高 | 大人しい | △(中級〜) |
| テクセル | 長毛・カール | 最高 | 穏やか | ×(上級者向) |
| スキニー | 無毛 | 特殊(保温) | 甘えん坊 | △(管理重視) |
この表からわかる通り、初めてモルモットを飼う場合は、まずはイングリッシュやクレステッドから検討するのが最も安心です。
ブラッシングに毎日30分以上の時間を割ける自信がある場合にのみ、長毛種を選択肢に入れることを強くおすすめします。
自分に合ったモルモットの選び方
種類ごとの特徴を理解したところで、次は「あなた自身」の状況に合わせた選び方のポイントを解説します。
お手入れにかけられる時間で選ぶ
モルモットの飼育で最も時間がかかるのは、掃除とブラッシングです。
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共働きや一人暮らしで忙しい方:イングリッシュやテディ。ブラッシングは週に1〜2回程度で健康維持が可能です。
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ペットとのスキンシップ、ケアを存分に楽しみたい方:ペルビアンやテクセル。毎日のブラッシングがコミュニケーションの重要な一部になります。
性格の傾向で選ぶ
個体差はありますが、種類のルーツによって性格に一定の傾向が見られます。
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べったり懐いてほしい:イングリッシュ、スキニー。人への依存度が比較的高いと言われています。
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少し個性的な動きや反応を楽しみたい:アビシニアン。活動的でケージ内を走り回る姿をよく見せてくれます。
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多頭飼いを考えている:レックス、テディ。比較的寛容で他の個体とトラブルになりにくい種類です。
飼育環境(部屋の温度)で選ぶ
モルモットは全般的に暑さ・寒さに弱い動物ですが、種類によってその感度は異なります。
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完璧な温度管理が難しい場合:短毛種。日本の四季に(ある程度は)対応しやすいです(もちろんエアコンは必須です)。
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無毛種(スキニー)を飼う場合:冬場はペット用ヒーターだけでなく、部屋全体の暖房を24時間稼働させ、室温を25度前後に一定に保つ覚悟が必要です。
「可愛いから」という理由だけで選ぶのではなく、自分がその子の生涯を責任を持ってケアできる環境にあるかを確認することが大切です。
モルモットを飼う前に知っておきたい共通の注意点
種類に関わらず、モルモットを飼育する上で避けて通れない重要なポイントが2つあります。
ビタミンCの摂取
モルモットは人間と同様、体内でビタミンCを合成することができません。
不足すると「モルモット壊血病」になり、歩行困難や歯のトラブル、免疫力の低下を引き起こします。
特にテディやスキニーなどの皮膚トラブルが起きやすい種類は、ビタミンCの補給に人一倍気を使う必要があります。
専用フード(ペレット)だけでなく、新鮮な野菜(ピーマンやパセリなど)や、サプリメントを上手に活用しましょう。
適切な床材の選択
足の裏が非常に繊細なモルモットにとって、床材選びは死活問題です。
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長毛種の場合:ウッドチップ(木くず)は毛に絡まって取れなくなるため、ペットシーツや牧草を厚く敷く、あるいは専用のマットを使用するのが一般的です。
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無毛種の場合:少しの摩擦でも皮膚が傷つくため、柔らかい布製品やフリースマットが推奨されます。
それぞれの種類の「弱点」を理解し、それを補う環境を整えてあげることが、長生きの秘訣です。
よくある質問
Q:種類によって寿命は変わりますか?
A:モルモットの平均寿命は5〜8年ほどですが、種類による決定的な差はないとされています。
ただし、無毛種のスキニーギニアピッグは体温管理の難しさや皮膚の弱さから、環境によっては短命になるリスクが高いと言われています。
適切な飼育環境と栄養管理次第で、どの種類も長生きさせることは可能です。
Q:オスとメスで性格が違うと聞きましたが、種類との関係は?
A:種類による性格の違いよりも、性別による違いの方が顕著に出る場合があります。一般的にオスは甘えん坊で人になつきやすく、メスは自立心が強く少しクールな性格が多い傾向にあります。種類の特徴(例:アビシニアンの活発さ)に、性別の特徴が加わると考えるとイメージしやすいでしょう。
Q:珍しい種類はどこでお迎えできますか?
A:イングリッシュやアビシニアンは一般的なホームセンターのペットコーナーでも見かけますが、テクセルやルンカリア、スキニーなどは小動物専門店やブリーダーから直接お迎えするのが一般的です。
珍しい種類ほど飼育に関する専門知識が必要になるため、信頼できるショップ選びが重要です。
Q:長毛種はカットしても大丈夫ですか?
A:はい、飼い主が展覧会(ショー)への出陳を考えていないのであれば、衛生面を考慮して短くカット(サマーカット)してあげるのが一般的です。
特にお尻周りの毛は尿や糞で汚れやすいため、こまめにカットしてあげることで皮膚病や悪臭を防ぐことができます。
まとめ
モルモットの世界には、毛質や見た目が異なる多様な種類が存在し、それぞれに独自の魅力があります。
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初心者は手入れが楽で人懐っこい短毛種(イングリッシュなど)が最も安心
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個性を求めるならつむじが特徴のアビシニアンやぬいぐるみの質感のテディがおすすめ
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長毛種は美しさが際立つが、毎日のブラッシングが不可欠な「上級者向け」
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無毛種はアレルギー対応が可能だが、極めて厳格な温度管理と皮膚ケアが必要
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どの種類であっても、ビタミンCの補給と適切な温度管理は飼い主の絶対的な義務である
モルモットは非常に感情豊かで、名前を呼ぶと鳴いて応えてくれたり、飼い主の後をついてきたりする素晴らしいパートナーになります。
種類ごとの特性を正しく理解し、自分のライフスタイルと照らし合わせることで、あなたもモルモットも幸せな生活を送ることができるはずです。
ぜひ、この記事を参考に、最高の出会いを見つけてください。
モルモットとの生活は、想像以上に豊かで温かい時間に満ちています。あなたが選んだその1匹が、かけがえのない家族の一員となることを心から願っています。






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短毛種(ショートヘア):最も一般的で、お手入れがしやすく初心者向け
巻毛・縮毛種:つむじ(ロゼット)や、縮れた毛が特徴の個性派
長毛種(ロングヘア):長く伸びる優雅な被毛を持つが、毎日のお手入れが必須
無毛種(ヘアレス):毛がほとんどない、または全くない特殊な種類