愛犬の体臭は、飼い主にとって「安心する匂い」である一方で、来客時や室内環境においては深刻な悩みの種になることがあります。
特に特定の犬種は、その歴史や身体構造から、他の犬種よりも強いニオイを発しやすい性質を持っています。
本記事では、臭い犬種ランキングとともに、ニオイが発生する科学的な原因、さらに今日から実践できる消臭ケアや驚きの豆知識を詳しく解説します。
愛犬との快適な生活を送るための結論を確認しましょう。
もくじ
臭い犬種ランキングTOP5!なぜこの種類は臭うのか
犬の体臭には個体差がありますが、犬種ごとに「臭いやすさ」の傾向は明確に分かれます。これは、かつて猟犬や水難救助犬として活躍していた背景や、身体的な特徴が大きく関係しています。
まずは、一般的に体臭が強いとされる犬種をランキング形式で紹介します。
第1位:バセット・ハウンド(垂れ耳と脂性肌)
ランキング不動の1位は、長い耳と垂れ下がった皮膚が特徴のバセット・ハウンドです。
この犬種は、他の犬種に比べて皮膚の「皮脂腺」が非常に発達しており、皮膚を保護するために油分を多く分泌します。この油分が酸化することで、独特の獣臭が発生します。
また、引きずるほど長い耳は耳道内の通気性を著しく悪化させ、外耳炎や細菌繁殖の温床となりやすいのが注意点です。耳の中から発せられるニオイが体臭全体を強く感じさせる大きな要因となっています。
第2位:ブルドッグ&パグ(皮膚のシワとガス)
短頭種と呼ばれるブルドッグやパグは、顔や首回りに深い「シワ」を持っています。
このシワの間に、涙、よだれ、皮脂、食べかすなどが溜まり、湿った状態で細菌が繁殖することで、酸っぱいような強いニオイを放ちます。
さらに、これらの犬種は呼吸の際に空気を多く飲み込む傾向があり、腸内環境が乱れやすく、おなら(ガス)が非常に臭いことも飼い主の悩みの一つです。シワの間を毎日清潔に保つことが、ニオイ抑制の最善策となります。
第3位:アメリカン・コッカー・スパニエル(外耳炎と皮脂分泌)
美しい被毛を持つコッカー・スパニエルも、実は体臭が強い犬種の代表格です。
遺伝的に「脂漏症(しろうしょう)」という、皮脂が過剰に出る皮膚疾患になりやすい体質を持っています。
また、耳の付け根から毛が密生しているため、耳の中が蒸れやすく、酵母菌(マラセチア)が繁殖して強烈なニオイを放つことが多々あります。定期的なトリミングと耳掃除を怠ると、家中にニオイが充満してしまうリスクがあるため注意が必要です。
第4位:レトリバー種(撥水性の高い脂質コート)
ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーは、水辺での作業を助けるために、被毛が「天然の油」でコーティングされています。
この撥水性の高い脂質は、冷たい水から体温を守るためのメリットですが、家庭犬としては強い体臭の元凶となります。
特にダブルコート(二重構造の毛)の間に抜け毛が溜まると、そこに皮脂が絡まり、雑菌が爆発的に増殖します。大型犬であるため皮膚の表面積も広く、発せられるニオイの総量が多くなるのも特徴です。
第5位:ビーグル(猟犬特有の強い皮脂臭)
ビーグルは優れた嗅覚を持つ猟犬として知られていますが、自身もまた強いニオイを持っています。
獲物を追う際に自身の匂いを残すため、あるいは厳しい環境から身を守るために、皮脂分泌が活発です。
また、活発に動き回るため、足の裏や肛門周りからの分泌物も多く、それらが混ざり合うことで「ビーグル臭」と呼ばれる独特のニオイを形成します。短毛種ですが、こまめなブラッシングと拭き掃除が結論として重要になります。
犬の体臭を発生させる「4つの主な原因」
なぜ犬は、これほどまでに多様なニオイを放つのでしょうか。
そのメカニズムを理解することで、より効果的な対策が見えてきます。
アポクリン腺の秘密
人間の汗腺は、体温調節のために水分を出す「エクリン腺」が主流ですが、犬は全身に「アポクリン腺」を持っています。
このアポクリン腺から出る汗は、タンパク質、脂質、アンモニアなどを豊富に含んだ、ベタベタとした性質のものです。
本来、これは個体識別やフェロモンとしての役割を果たしていますが、現代の室内環境では、この成分がニオイの主原料となってしまいます。
微生物(常在菌)による分解
犬の皮膚には、人間と同じように多くの常在菌が存在します。
アポクリン腺から出た脂質やタンパク質を、これらの細菌がエサとして食べ、分解する過程で「低級脂肪酸」などの揮発性物質が生成されます。
これが、人間が「臭い」と感じるニオイの正体です。つまり、汗そのものが臭うのではなく、細菌の活動結果がニオイなのです。
酸化した皮脂の蓄積
分泌されたばかりの皮脂はそれほど臭いません。
しかし、皮脂が酸素に触れて「酸化」し、さらに汚れと混ざり合うことで、ツンとするような刺激臭へと変化します。
特に、以下の箇所は皮脂が溜まりやすく、ニオイが強くなる傾向にあります。
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首周り、脇の下、股の間
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指の間(肉球の隙間)
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尻尾の付け根
構造的な問題(耳・シワ・口)
解剖学的な特徴もニオイに大きく寄与します。
垂れ耳の犬種は、耳道が閉鎖空間となるため、温度と湿度が上昇し、細菌やカビ(真菌)の温床となります。
また、歯石が付きやすい犬種やシニア犬では、歯周病菌が発するメチルメルカプタンなどのガスにより、強烈な口臭が発生します。これが毛づくろいによって体中に広がることで、体臭をさらに悪化させるという注意点があります。
犬の豆知識:驚きのニオイの仕組み
愛犬のニオイには、科学的に証明された興味深い事実が隠されています。
知っておくと、愛犬への理解がより一層深まる豆知識を紹介します。
肉球が「ポップコーン」の臭いがする理由
愛犬の肉球を嗅ぐと、香ばしいポップコーンやコーンチップのような匂いがすることがあります。
これは単なる気のせいではなく、肉球付近に生息する「シュードモナス属」や「プロテウス属」という細菌の働きによるものです。
これらの細菌が、肉球にあるわずかな汗腺(エクリン腺)からの水分と、皮膚の成分を分解する際に生成される成分が、ポップコーンの香りの成分と酷似しているのです。基本的には健康な証拠ですが、あまりに強い場合は炎症を疑う必要があります。
濡れた犬がなぜ「生乾き臭」になるのか
雨の日やシャンプー後に、犬が急激に臭くなる現象を「ウェット・ドッグ・スメル(濡れた犬の臭い)」と呼びます。
これは、被毛に住み着いている酵母菌や細菌が、水分を得ることで活性化し、排泄物をガスとして一気に放出するためです。
研究によると、2-メチルブタナールやイソバレルアルデヒドといった成分がこの臭いの正体です。
濡れたまま放置すると、これらの成分が周囲に拡散し続けるため、迅速に乾かすことがニオイ対策の結論となります。
犬は自分の臭いで安心する?
人間にとっての悪臭は、犬にとっては「自分を象徴する大切な情報」です。
犬が散歩中に自分の臭いを地面に擦り付けたり、他の犬のニオイを熱心に嗅いだりするのは、重要なコミュニケーションツールだからです。
シャンプーをしすぎて自分のニオイが完全に消えてしまうと、犬は不安を感じ、あえて汚い場所に体を擦り付けて自分のニオイを取り戻そうとすることもあります。過剰な洗浄よりも、「適度な清潔さ」を保つことが犬の精神衛生上のメリットになります。
室内飼いでも安心!愛犬の臭いを劇的に抑える5つの対策
「臭い犬種だから」と諦める必要はありません。
適切なケアを習慣化することで、室内でもニオイを気にせず快適に過ごすことができます。
正しいシャンプーの頻度と「乳化」の重要性
ニオイ対策の基本はシャンプーですが、回数が多すぎると皮膚のバリア機能が壊れ、かえって皮脂分泌が加速してしまいます。
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頻度:月に1回から2回が目安。
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コツ:シャンプー剤を直接つけるのではなく、泡立ててから「皮脂を浮かせる(乳化させる)」イメージで洗います。
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温度:37度前後のぬるま湯が最適です。熱すぎると皮膚を乾燥させ、ニオイを悪化させる注意点となります。
「シワ掃除」のプロテクニック
パグやブルドッグのようなシワのある犬種には、専用の拭き取りケアが必要です。
乾いたタオルで擦るのではなく、湿らせたガーゼや犬専用のクリーナーを使い、優しく汚れを浮かせて取り除きます。
重要なのは、拭いた後に水分を完全に拭き取ることです。
湿ったままだと、残った水分が再び細菌の繁殖を招き、ニオイを倍増させる原因になります。
食事の見直し:腸内環境と体臭の関係
体臭は、食べたものからも大きく影響を受けます。
安価なドッグフードに含まれる粗悪な脂質や、消化しにくいタンパク質は、腸内で異常発酵を起こし、それが血液を介して皮膚からニオイとして放出されます。
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対策:消化吸収率の高い高品質なタンパク質を主原料としたフードに変える。
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期待できる効果:便のニオイが軽減するだけでなく、皮膚から出る油分の質が変わり、体臭がマイルドになります。
部屋の消臭:空気清浄機と次亜塩素酸水の活用
犬の体そのものだけでなく、部屋に染み付いたニオイへの対策も不可欠です。
| 対策ツール | 主なメリット | 使用のポイント |
| 脱臭機・空気清浄機 | 浮遊するニオイ分子を分解・吸着 | フィルターの定期的な掃除が必須 |
| 次亜塩素酸水 | 強力な除菌・消臭効果 | ペットが舐めても安全な濃度を使用 |
| 布製製品の洗濯 | カーテンやクッションのニオイをリセット | 犬専用の酵素入り洗剤を使うと効果的 |
特に、カーテンやカーペットなどの布製品はニオイを吸い込みやすいため、週に一度の洗濯や消臭スプレーの塗布が結論として有効です。
よくある質問(FAQ)
人間用のシャンプーを犬に使っても平気ですか?
絶対におすすめしません。
人間の皮膚は弱酸性ですが、犬の皮膚は中性から弱アルカリ性であり、人間よりも非常に薄くデリケートです。
人間用のシャンプーは洗浄力が強すぎ、犬の皮膚のバリア機能を壊してしまいます。その結果、皮膚炎を起こしたり、守ろうとして余計に皮脂が出てニオイが強くなったりする注意点があります。必ず犬専用の低刺激シャンプーを使用してください。
シャンプーしたばかりなのに、数日でまた臭くなるのはなぜですか?
主な原因は2つ考えられます。一つは、「乾かし不足」です。被毛の根元が湿っていると、すぐに細菌が繁殖してニオイが発生します。もう一つは、内臓疾患や皮膚病の可能性です。脂漏症や外耳炎、あるいは腎臓や肝臓の不調によって、体内から強いニオイが出ている場合があります。あまりに早く臭う場合は、一度動物病院を受診することが悩み解決の近道です。
肛門腺絞りは自分でもできますか?
はい、コツを掴めば自宅で行うことが可能です。
尻尾の付け根、時計の針でいう4時と8時の方向に溜まっている分泌物を、下から上に押し出すように絞ります。
この分泌物は非常に強烈なニオイを放つため、シャンプーの際に行い、すぐに洗い流すのがコツです。自分でするのが不安な場合は、トリミングサロンや動物病院で定期的にお願いすることをおすすめします。
歯磨きがどうしてもできない場合、口臭対策はどうすればいいですか?
理想は歯ブラシを使ったブラッシングですが、難しい場合は「歯磨きシート」や「歯磨きガム」の活用から始めましょう。
また、飲み水に混ぜるタイプの液体歯磨きや、歯石を付きにくくするサプリメントも販売されています。
口臭は体全体のニオイに直結するため、少しずつでもケアを継続することが、愛犬の健康維持とニオイ対策の結論になります。
冬場よりも夏場の方が臭く感じるのは気のせいでしょうか?
いいえ、気のせいではありません。
高温多湿な環境は、ニオイの原因となる細菌や真菌(マラセチアなど)にとって最も活動しやすい条件だからです。
また、気温が高いとニオイ分子が揮発しやすくなり、空気中に広がる速度が速まります。
夏場はエアコンによる温度・湿度管理を徹底することが、愛犬の熱中症予防とニオイ対策の両面において大きなメリットとなります。
まとめ
犬の体臭は、その犬種のルーツや身体の仕組み、さらには皮膚に住む目に見えない細菌たちの活動によって生み出されています。
臭い犬種ランキング上位の犬たちも、適切なケアを行えば、そのニオイを大幅に抑えることが可能です。
大切なのは、「なぜ臭うのか」という原因を正しく理解し、シャンプー、シワ掃除、食事管理といった多角的なアプローチを行うことです。愛犬のニオイをゼロにする必要はありませんが、清潔に保つことは、病気の早期発見や愛犬の快適性にも繋がる素晴らしい習慣です。
今回の豆知識や対策を参考に、愛犬との絆をより深め、清潔で心地よい毎日を築いていってください。飼い主の優しいケアこそが、愛犬が自信を持って健やかに過ごすための最高のエッセンスとなるはずです。





















