「どうしても今日は学校を休みたい」
「体調が悪い気がするのに、体温計の数値が低すぎて信じてもらえない」
といった理由で、体温計の数値を上げる方法を探している方は少なくありません。
また、一方で
「平熱が低すぎて免疫力が心配」
「健康のために体温を1度上げたい」
という切実な悩みを持つ方も増えています。
本記事では、体温計の数値を一時的に高く表示させる物理的なテクニックから、体温計の仕組みに基づいた「なぜ数値が上がるのか」という論理的な解説、そして本質的に体の内側から体温(平熱)を上げるための健康的なアプローチまで、体温にまつわるあらゆる情報を徹底的に網羅しました。
この記事を読み終える頃には、体温計を自在にコントロールする知識だけでなく、自分自身の健康を守るための正しい知識が身についているはずです。
もくじ
【即効性】体温計の数値を物理的に上げる方法
まずは、今すぐ体温計の数値を高く表示させたい場合に用いられる、代表的な物理的テクニックを紹介します。
これらは体温計のセンサー部分に「外部からの熱」や「摩擦」を加えることで、実際の体温とは異なる数値を計測させる方法です。
摩擦熱を利用した数値の変動
最も古くから知られている方法の一つが、摩擦熱を利用するテクニックです。体温計の先端にあるセンサー(感温部)を、手のひらや衣類、あるいは布団のシーツなどで勢いよくこすり合わせることで、数値を上昇させます。
物理学の原理として、物体同士をこすり合わせると摩擦によってエネルギーが発生し、それが熱へと変換されます。デジタル体温計のセンサーは非常に敏感であるため、数秒間激しく摩擦するだけで、37度から38度程度の「微熱」から「高熱」の状態を容易に作り出すことが可能です。
ただし、摩擦を止めるとすぐに温度が下がってしまうため、計測が完了する直前まで温度を維持する工夫が必要になります。
外部の熱源(お湯・カイロ・こたつ)の利用
より確実に、かつ高熱を偽装したい場合に用いられるのが、外部の熱源を直接利用する方法です。
以下の表は、代表的な物理的方法とその特徴、および注意点をまとめたものです。
体温計の数値を物理的に操作する主な手法比較
| 方法 | 期待できる温度上昇 | メリット | デメリット・リスク |
| 摩擦熱(手・服) | +1.0℃ 〜 +3.0℃ | 特別な道具が不要 | 摩擦音がバレやすい、数値が不安定 |
| 温水(お湯) | 自由自在 | 狙った数値に調整しやすい | 温度が高すぎると不自然、防水機能が必要 |
| カイロ・こたつ | +2.0℃ 〜 +5.0℃ | 放置するだけで上がる | 加熱しすぎると故障の原因になる |
| 脇の密閉(厚着) | +0.2℃ 〜 +0.8℃ | 最も自然でバレにくい | 大きな上昇は見込めない |
このように、物理的に数値を上げる方法は多岐にわたりますが、いずれも体温計の本来の目的から外れた行為であるため、機器の故障や不自然な結果を招く可能性があることを忘れてはなりません。
体温計の仕組みを知れば「なぜ上がるか」がわかる
なぜ、上記のような方法で体温計の数値が変わるのでしょうか。その理由は、体温計の種類ごとに異なる「温度を検知する仕組み」にあります。仕組みを理解することで、どの方法が最も効果的(あるいは非効率的)かを論理的に判断できるようになります。
デジタル体温計(予測式と実測式)
現在主流となっているデジタル体温計には、「予測式」と「実測式」の2種類、あるいはその両方を備えたタイプがあります。
予測式体温計は、計測開始からの数秒〜数十秒の温度上昇カーブを解析し、10分後の平衡温(これ以上上がらなくなる温度)を高速でシミュレーションする仕組みです。そのため、最初の数秒間で急激にセンサーを温めると、演算ロジックが「非常に高い熱がある」と誤認し、驚くような高熱が表示されることがあります。
一方、実測式体温計は、センサーが感知している現在の温度をそのまま表示します。そのため、摩擦や熱源を離した瞬間に数値が下がっていく様子がリアルタイムで見えてしまいます。
赤外線式(非接触型・耳式)
おでこや耳で測る非接触型の体温計は、物体から放射されている「赤外線エネルギー」の量をセンサーで読み取っています。
赤外線式の数値が高く出る主な原因は、肌の表面温度が高いことです。お風呂上がり、運動直後、あるいは暖房器具の近くにいた直後などは、体内の深部体温に関わらず表面温度が上昇しているため、高めの数値が出やすくなります。逆に、冬場の屋外から帰宅した直後などは数値が低く出すぎる傾向にあり、外部環境の影響を最も受けやすいタイプといえます。
水銀体温計(アナログ式)
最近では見かけることが少なくなりましたが、水銀体温計は熱による「水銀の膨張」を利用しています。
一度上がった水銀は、本体を強く振らない限り元の位置に戻らないという「留点(りゅうてん)」という仕組みがあるため、お湯などで一度数値を上げてしまえば、その後冷えても数値が維持されるという特徴があります。偽装という観点では最も確実性が高いですが、ガラス製で割れやすく、水銀の取り扱いにも注意が必要です。
【要注意】体温計の数値を偽装する際のリスク
「今日だけはどうしても……」という思いで数値を操作したくなる気持ちも理解できますが、そこには見過ごせない大きなリスクが隠れています。一時的な回避が、結果として自分自身を苦しめることになるかもしれません。
嘘が露見した際の信頼喪失
家族、教師、上司などに対して偽りの体温を報告し、それがバレてしまった場合、あなたへの信頼は大きく失墜します。
特に医療機関や職場での検温報告は、感染症対策という重要な文脈で行われています。「熱があるふり」をすることは、組織全体の健康管理体制を乱す行為と見なされる可能性があり、後々の人間関係や社会的な立場に悪影響を及ぼす恐れがあります。
本当の体調不良を見逃す危険性
「熱がないのに熱があるふりをする」一方で、「実は本当に熱があるのに、数値を操作しているせいで正確な病状が把握できない」という事態が最も危険です。
体温は、体の中で起きている炎症や感染に対する重要なサインです。数値を物理的にいじってしまうと、本来医師が判断材料とするはずの正確なデータが失われ、適切な治療のタイミングを逃してしまうことになりかねません。自分の体の声を正しく聞くことを優先してください。
精神的な負担と罪悪感
嘘をついて休息を得たとしても、その間「バレるのではないか」「自分は何をしているのだろう」という不安や罪悪感に苛まれることがあります。これでは、心身を真に休めることは不可能です。
もし「休みたい」と感じているのであれば、それは体が休息を求めているサインかもしれません。熱という「嘘の理由」を作るのではなく、「精神的に疲れ果てている」「休息が必要だ」という真実に向き合うことも、時には必要です。
【本質】本物の「平熱」を上げるための健康習慣
さて、ここからは「数値を偽装する」のではなく、「本当に体温(平熱)を上げて健康になりたい」という方へのガイドです。
平熱が36.0度以下の「低体温」状態は、血流の悪化、免疫力の低下、基礎代謝の減少を招きます。平熱を1度上げるだけで、免疫力は数倍に高まると言われています。ここでは、科学的に根拠のある「基礎体温を上げるための習慣」を解説します。
食事・飲み物で内側から温める
体温を作る源は、私たちが毎日口にする食事です。食事誘発性熱産生(DIT)という言葉があるように、食べる行為そのものが体温を上昇させます。
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白湯(さゆ)を飲む習慣: 朝起きてすぐにコップ1杯の白湯を飲むことで、寝ている間に冷えた内臓が直接温まり、血流が改善します。これにより、1日の代謝スイッチが入ります。
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「陽性」の食材を積極的に摂る: 漢方の考え方で体を温めるとされる食材を取り入れましょう。生姜(ショウガオール)、ニンニク、ネギ、根菜類(カボチャ、ゴボウ、ニンジン)などが代表的です。
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タンパク質不足を解消する: 筋肉の材料であり、食事の際の熱産生量が最も高いのがタンパク質です。肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく摂取することで、効率よく体熱を生成できる体質へと変わっていきます。
運動・入浴で基礎代謝を向上させる
体の中で最も熱を生み出す組織は「筋肉」です。筋肉量を増やすことこそが、平熱アップへの最短距離です。
- スクワットによる下半身強化: 全身の筋肉の約7割は下半身に集中しています。1日10回〜30回のスクワットを行うだけで、効率的に熱産生能力を高めることができます。
- 10分間の全身浴: シャワーだけで済ませず、38度〜40度程度のぬるめのお湯にしっかり10分間つかりましょう。これにより体温が一時的に約1度上昇し、継続することで自律神経が整い、平熱の底上げにつながります。
- 質の良い睡眠: 体温は自律神経(交感神経と副交感神経)によってコントロールされています。一定の時間に眠り、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、正常な体温リズム(昼間に高く、夜間に低い)が作られます。
以下の表は、平熱を上げるための具体的な行動プランを整理したものです。
基礎体温(平熱)を1度上げるためのステップ別アクション
| カテゴリ | 今日からできること | 習慣化したいこと | 期待できる効果 |
| 食事 | 朝イチの白湯、生姜湯 | 毎食のタンパク質摂取 | 内臓温度の上昇、代謝改善 |
| 運動 | 階段を使う、つま先立ち | 1日20分のウォーキング、スクワット | 筋肉量アップによる熱産生 |
| 入浴 | 湯船に5分つかる | 40℃で15分の全身浴 | 血流促進、自律神経の安定 |
| 生活 | 腹巻きをする | 決まった時間の起床・就寝 | 冷えの防止、体温リズムの正常化 |
これらの習慣を一つずつ積み重ねることで、「偽りの熱」ではなく、健康の証である「高い平熱」を手に入れることができます。
よくある質問
体温計の扱いや体温調整に関して、多くの人が抱く疑問に回答します。
Q:体温計をこすっても数値が上がらないのはなぜですか?
A:原因は2つ考えられます。1つは「摩擦のスピードや圧力が足りない」こと、もう1つは「体温計が実測式である」ことです。予測式の体温計であれば急激な変化に反応しやすいですが、実測式の場合は実際にその温度に達するまで時間がかかります。また、最近の高性能な体温計は、不自然な温度上昇を検知するとエラーを表示する機能が備わっている場合もあります。
Q:お風呂上がりだと体温が高く出るのはなぜですか?
A:入浴によって皮膚表面の血流が激しくなり、皮膚表面温度が上昇しているためです。また、長時間湯船につかると深部体温(体の中心の温度)も実際に上昇します。「正しい平熱」を測りたい場合は、入浴後30分以上経過し、体が落ち着いてから計測することをお勧めします。
Q:低体温(平熱35度台)を放置するとどうなりますか?
A:免疫細胞である白血球の活動が鈍くなり、風邪や感染症にかかりやすくなるリスクがあります。また、酵素の働きが低下するため基礎代謝が落ち、太りやすくなったり、疲れが取れにくくなったりすることもあります。平熱が低いと感じている場合は、本記事で紹介した「本質的な改善策」を早めに取り入れることが大切です。
Q:赤外線体温計で数値を高く出すコツはありますか?
A:おでこ(額)の血流を一時的に良くすることがポイントです。蒸しタオルで額を数分間温めたり、手で額を強くこすったりした直後に計測すると、表面温度が高く測定される傾向にあります。ただし、非接触型は環境温度にも左右されやすいため、数値の安定性は他の方式より低くなります。
Q:脇の下が濡れていると体温は変わりますか?
A:はい、変わります。汗をかいた状態で計測すると、水分が蒸発する際に熱を奪う「気化熱」の影響で、数値が実際よりも低く出てしまうことが多いです。正確に測る(あるいは正確に操作する)ためには、乾いたタオルでしっかりと脇を拭いてから計測するのが基本です。
まとめ
本記事では、体温計の数値を上げる方法について、物理的なテクニックから本質的な健康改善まで幅広く解説してきました。
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物理的に数値を上げるには、摩擦熱、温水、外部熱源(カイロ等)を利用する手法がある。
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デジタル体温計の予測アルゴリズムを逆手に取ることで、短時間で高熱を偽装することが可能。
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数値を偽装することには、信頼の喪失や本当の病気を見逃すといった大きなリスクが伴う。
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本質的に体温を上げるには、タンパク質摂取、スクワット、全身浴などの生活習慣が不可欠。
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正しい体温測定の知識を持つことで、自分の体調変化を正確に把握し、健康管理に役立てられる。
体温計の数値を操作したいという衝動の裏には、もしかすると言葉にできないほどの疲れやストレスが隠れているのかもしれません。一時的に数値を上げて休息を得ることも、緊急避難的にはあるかもしれません。しかし、長期的に見てあなたを救うのは、偽りの高熱ではなく、健やかな体温を維持できる健康な心身です。
まずは温かい飲み物を一杯飲み、自分の体が何を求めているのか、ゆっくりと耳を傾けてみてください。この記事が、あなたの健康と日々の生活をより良くするためのヒントになれば幸いです。






















温水(お湯)の使用: コップに入れた白湯や、お風呂のお湯に体温計の先端を浸けます。水銀体温計の場合は反応が遅いですが、デジタル体温計であれば一瞬で数値が跳ね上がります。ただし、40度を超えるような「ありえない数値」にならないよう、温度調節が極めて重要です。
カイロやこたつの熱: 冬場であれば、使い捨てカイロの表面に体温計を当てたり、こたつの中に数分入れておいたりすることで、センサーを温めることができます。
脇の密閉と衣類との干渉: 厚着をした状態で脇を強く締め続け、脇の下に熱をこもらせた状態で計測すると、通常よりも0.2度〜0.5度程度高い数値が出やすくなります。これは「こもり熱」と呼ばれる現象を利用したものです。