モルモットを家族に迎えたものの、ケージに近づくだけで逃げられてしまったり、手を差し出すと隠れ家にこもってしまったりすることに、寂しさを感じていませんか。
モルモットは本来、非常に臆病で警戒心が強い動物です。
決してあなたを嫌っているわけではなく、野生下で「狙われる側」だった本能が、新しい環境に対して慎重にさせているだけなのです。
この記事では、モルモットの習性を深く理解し、無理なく距離を縮めていくための具体的な方法を詳しく解説します。
焦らずに一歩ずつ進むことで、やがてあなたの姿を見つけると嬉しそうに鳴き声を上げ、膝の上でくつろいでくれるような最高のパートナーシップを築けるようになるでしょう。
もくじ
モルモットがなつくまでの期間と個体差
モルモットが新しい環境や飼い主に慣れるまでの期間には、大きな個体差があります。
一般的には、環境に慣れるのに1〜2週間、飼い主に反応し始めるのに1ヶ月、完全にリラックスしてなつくまでには3ヶ月から半年以上かかることも珍しくありません。
早く仲良くなりたいという気持ちは分かりますが、モルモットにとって「人間」は自分より何十倍も大きい未知の存在です。
まずは、モルモットのペースに合わせて待つことが、信頼関係を築くための最短ルートとなります。
性格による違い
モルモットにも、人間と同じように活発で好奇心旺盛な子もいれば、非常に慎重で物音に敏感な子もいます。
| 性格のタイプ | なつくまでの傾向 |
| 好奇心旺盛 | 比較的早く手からおやつを食べるようになり、数週間で慣れることが多い |
| 慎重・臆病 | 足音を聞いただけで隠れる。なつくまで半年から1年以上かかることもある |
| マイペース | 飼い主を無視しているように見えるが、実はリラックスしているタイプ |
性格がどのようなタイプであっても、毎日一貫性のある接し方を続けることで、必ず心の距離は縮まっていきます。
仲良くなるための段階的5ステップ
モルモットとの信頼関係は、階段を一段ずつ登るように構築します。
前のステップをクリアする前に次の段階へ進もうとすると、警戒心が強まってしまうため注意が必要です。
ステップ1:環境に慣れさせ、存在を認識してもらう
家に迎えてから最初の1週間は、過度に触ろうとせず、モルモットがケージ内を「安全な場所」だと認識するのを待ちます。
まずは「この人間は怖くない」と思ってもらうことがスタートです。
ケージの掃除やエサやりの際に、優しく名前を呼んでから作業を始めましょう。
急な動きや大きな音は避け、あなたの存在が日常の一部であることを教え込みます。
ステップ2:匂いで「味方」だと覚えさせる
モルモットは嗅覚が非常に発達しています。
飼い主の匂いを「安心できる匂い」としてインプットさせることが重要です。
あなたが普段使っているハンドタオルや、一度着用した靴下などをケージの近くに置いたり、隠れ家の中に敷いてあげたりしましょう。
あなたの匂いが漂う空間でリラックスして過ごす時間が増えれば、あなた自身への警戒心も自然と薄れていきます。
ステップ3:手渡しでおやつを与える
モルモットの大好物(小松菜、パセリ、リンゴなど)を使い、手から直接食べてもらう練習をします。
最初は指先で持ったおやつを差し出し、モルモットが自分から近づいてくるのを待ちます。
無理に追いかけて食べさせるのは逆効果です。
「人間の手=おいしいものをくれる魔法の手」というポジティブな印象を植え付けましょう。
ステップ4:優しく体に触れる
手からおやつを食べるようになったら、食べている最中にそっと指先で脳天や顎の下を撫でてみましょう。モルモットが体をすくめたり逃げたりしなければ、それがOKのサインです。
撫でる位置は、モルモットが自分で毛づくろいしにくい場所が喜ばれやすい傾向にあります。
ステップ5:短い時間の抱っこを習慣化する
体に触れられることに慣れたら、いよいよ抱っこに挑戦します。
ただし、モルモットは高いところが苦手です。抱き上げる際は、お腹とお尻をしっかり支え、安定感を持たせてあげましょう。
最初は数分程度の短い時間から始め、膝の上でおやつをあげるなどして、「抱っこ=いいことがある」という記憶を作っていきます。
モルモットがなついている時のサイン(行動・鳴き声)
モルモットは感情表現が豊かな動物です。
あなたに対して以下のような反応を見せるようになったら、それは信頼と愛情の証といえます。
嬉しい時の鳴き声と動き
信頼を示す仕草
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手や顔を舐めてくる: モルモットにとって舐める行為は、仲間に対する親愛の情を表しています。
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近くで足を伸ばして寝る: 敵を警戒する必要がない、完全にリラックスした状態です。
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後を追ってくる: 部屋で散歩(へやんぽ)をさせている時に、飼い主の後ろをトコトコ付いてくるのは、あなたをリーダーや信頼できるパートナーだと認めている証拠です。
なつかない原因と改善チェックリスト
「これだけ努力しているのに、一向になついてくれない」と感じる場合は、無意識のうちにモルモットが嫌がる行動をとっている可能性があります。以下の項目を確認してみてください。
1. 上から急に手を近づけていないか
野生のモルモットにとって、上空から近づくものは「天敵である猛禽類」を連想させます。
手を差し出す時は、視界に入る前方や横から、低い位置で出すように心がけてください。
2. 音や光の刺激が強すぎないか
テレビの音、ドアを閉める音、掃除機の音などにモルモットは敏感です。
ケージを置く場所は、静かで落ち着ける部屋の隅などが理想的です。
3. 追いかけ回して捕まえていないか
抱っこしたい一心で、逃げるモルモットをケージ内で追いかけ回すのは厳禁です。
「捕食者に狙われている」という恐怖体験を与えてしまい、それまでの信頼がゼロに戻ってしまいます。
4. 触れ合いの時間が不規則ではないか
たまに数時間たっぷり遊ぶよりも、毎日5分〜10分、決まった時間に接するほうが効果的です。
ルーティンを好む習性を利用し、生活リズムを合わせましょう。
よくある質問
Q:名前を呼んでも反応しません。耳が悪いのでしょうか?
A:耳が悪いわけではなく、まだ「その音が自分を呼ぶ特別な合図」だと理解していないだけです。
名前を呼んだ直後におやつをあげることを繰り返すと、名前=嬉しいことが起きる音として覚え、反応してくれるようになります。
Q:なついているはずなのに、急に噛まれることがあります。
A:悪意があって噛んでいるわけではありません。
トイレに行きたいサインであったり、「今は触られたくない」という意思表示であったりすることが多いです。
また、手に食べ物の匂いが残っていると、間違えて噛んでしまうこともあります。
Q:多頭飼いをしているとなつきにくいですか?
A:モルモット同士の絆が強くなるため、単頭飼いに比べると人間に対する依存度は低くなる傾向にあります。
しかし、一匹ずつ個別に触れ合う時間を作ることで、多頭飼いでも十分に飼い主になつかせることは可能です。
Q:オスとメスでは、どちらのほうがなつきやすいですか?
A:一般的には、オスのほうが人懐っこく、感情表現がストレートであると言われることが多いです。
メスは集団の中での調和を重視するため、やや慎重でマイペースな性格の子が目立ちます。
ただし、これらはあくまで傾向であり、性別よりもその子が持っている元々の性格や、これまでの生活環境による影響のほうがはるかに大きいです。
どちらの性別であっても、愛情を持って接すれば必ず信頼関係を築くことができます。
Q:大人になってから迎えたモルモットでも、なつきますか?
A:はい、時間はかかりますが大人からでも十分になつきます。
子どもの頃から育てたほうが慣れるスピードは早い傾向にありますが、成体には成体ならではの落ち着きがあり、飼い主の行動をよく観察して理解する能力に長けています。
特に保護個体などの場合は、過去の経験から人間に対して強い恐怖心を持っていることがありますが、「ここは安全な場所だ」と時間をかけて証明してあげることで、非常に深い絆で結ばれるケースも少なくありません。
Q:部屋んぽ(室内散歩)中、呼んでも戻ってこないのはなぜですか?
A:部屋んぽ中は、モルモットにとって周囲のすべてが探索対象であり、好奇心が勝っている状態だからです。
呼んでも戻ってこないのは、あなたを嫌っているからではなく、単に遊びに夢中になっているだけですので安心してください。
無理に追いかけて捕まえようとすると、せっかくの楽しい時間が恐怖の時間に変わってしまいます。
戻ってほしい時は、ケージの近くで野菜の袋を鳴らす、おやつの容器を振るなど、モルモットが自発的に「戻りたい」と思うような合図を送るのが効果的です。
Q:病院に連れて行った後、急に避けられるようになりました。
A:通院や爪切りなどの「嫌なこと」をされた直後は、モルモットが一時的に**人間に対して不信感を抱く「心の停滞期」**に入ることがあります。
これは一時的な防衛本能ですので、無理に機嫌を取ろうとして触りすぎないことが大切です。数日間は、美味しいおやつを多めにあげる、いつも以上に優しく声をかけるといったフォローに徹してください。
あなたが日常的に安心を与えてくれる存在であれば、数日から1週間ほどで元の関係に戻ることができます。
Q:ケージ越しには寄ってくるのに、出すと逃げるのはどうして?
A:ケージの中は、モルモットにとって「絶対に安全な自分の縄張り」だからです。
ケージ越しであれば、柵というバリアがあることで安心してあなたに近づくことができます。
しかし、一歩外に出るとそこは広大な未知の空間となり、自分を守る壁がないため、警戒スイッチが入ってしまいます。
外の世界でも安心してもらうためには、部屋んぽのスペースに隠れ家やトンネルをたくさん配置し、「いつでも隠れられる場所がある」という安心感を与えながら、徐々に外の環境に慣れさせていくことが重要です。
まとめ
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モルモットの臆病な本能を理解し、焦らずに最低でも1ヶ月〜3ヶ月は様子を見る。
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「匂い」「声」「おやつ」をセットにして、飼い主=安心・安全な存在だと教える。
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触れ合いはステップを飛ばさず、手渡しのおやつから徐々にレベルアップさせる。
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鳴き声(プイプイ)やリラックスした寝姿など、小さなサインを見逃さない。
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追いかけ回す、上から掴むといった「天敵」を連想させる行動は絶対に避ける。
モルモットとの暮らしにおいて、「なつく」ことは目的ではなく、お互いの信頼の積み重ねの結果です。
毎日少しずつ愛情を注ぎ、声をかけ続けることで、ある日突然、彼らの心が開かれる瞬間が訪れます。その小さな体から溢れるほどの信頼を感じられる日は、すぐそこまで来ています。
個体差を楽しみながら、あなたとモルモットだけの特別な絆を育んでいってください。




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「プイプイ!」「キュイキュイ!」: 飼い主の足音を聞いたり、野菜の袋の音がしたりした時に鳴くのは、期待と喜びのサインです。
「グルルル」: 喉を鳴らすような音は、リラックスしてマッサージを楽しんでいる時によく聞かれます。
ポップコーンジャンプ: 突然ピョンと跳ねたり、走り回ったりするのは、感情が爆発するほど楽しい時に見せる特有の行動です。