犬がトイレを覚えたのに失敗！急な粗相の5つの原因と対策法

「完璧にトイレを覚えたはずなのに、なぜ急に失敗するようになったの？」

と不安を感じていませんか？

昨日までできていたことができなくなると、病気なのか、それともわざとやっているのか分からず、どう対応すればいいか悩みますよね。

実は、犬がトイレを失敗する背景には、ストレスや体調不良、環境の変化など、必ず何らかの理由が隠されています。

この記事では、急にトイレを失敗するようになった原因を突き止め、もう一度成功させるための具体的な再トレーニング方法を解説します。

愛犬の気持ちを正しく理解し、正しい対処法を実践することで、再びトイレの悩みから解放されるメリットがあります。

焦らず基本に立ち返り、愛犬との信頼関係を取り戻しましょう。

 

犬がトイレを覚えたのに失敗する3つの主要な原因

犬が急にトイレを失敗するようになった場合、単なる「わがまま」や「うっかり」で片付けてはいけません。

そこには、飼い主さんが気づきにくいSOSサインが隠されている可能性があります。

まずは、なぜ失敗してしまうのか、その主要な原因を3つの視点から探っていきましょう。

 

ストレスや環境の変化による心理的な要因

犬は非常に繊細な生き物であり、環境の変化に対して敏感に反応します。

人間にとっては些細なことであっても、犬にとっては大きなストレスとなり、それがトイレの失敗という形で現れることがあります。

例えば、以下のような変化が最近なかったか思い出してください。

• 引っ越しや部屋の模様替えをした

• 新しい家族（赤ちゃんやペット）が増えた

• 飼い主の生活リズムが変わり、留守番の時間が増えた

• 近所の工事音や騒音がうるさくなった

これらの環境変化により、犬は不安を感じて精神的に不安定になり、今までできていた排泄のコントロールができなくなることがあります。

また、トイレの場所が変わったり、トイレトレーそのものが変わったりすることも、犬にとっては混乱の原因となります。

 

泌尿器系の病気や体調不良の可能性

「しつけの問題」だと思い込んで叱っていたら、実は病気だったというケースは少なくありません。

特に、急にトイレの回数が増えたり、我慢できずに漏らしてしまったりする場合は、泌尿器系の病気を疑う必要があります。

以下の表は、トイレの失敗に関連する主な病気とその特徴をまとめたものです。

 

もし、おしっこの色がいつもと違う、キラキラしている、または排泄時に痛そうに鳴くなどの様子が見られたら、すぐに動物病院を受診してください。

病気が原因である場合、しつけで直すことは不可能であり、治療が最優先の結論となります。

 

加齢や認知症による身体機能の低下

愛犬がシニア期（7歳〜）に入っている場合、加齢による身体機能の衰えが原因かもしれません。

若い頃は我慢できていたおしっこが、括約筋（かつやくきん）の緩みによって我慢できなくなり、トイレにたどり着く前に漏らしてしまうのです。

また、人間と同じように犬も高齢になると認知症（認知機能不全症候群）を発症することがあります。

認知症になると、今まで覚えていたトイレの場所が分からなくなったり、トイレに行くという感覚そのものを忘れてしまったりすることがあります。

 

• トイレ以外の場所でぼーっとしながら排泄する

• 部屋の隅や狭い場所に入り込んで排泄する

• 食欲や睡眠のリズムも乱れている

このような行動が見られる場合は、老化現象の一つとして受け止め、叱るのではなく環境を整えてあげる等のサポートが必要です。

 

トイレの失敗が「わざと」かどうか見極める方法

「留守番をさせた腹いせに、わざとベッドにおしっこをしたのではないか？」

そう疑ってしまう飼い主さんも多いですが、動物行動学の視点では、犬が「復讐」や「嫌がらせ」のために排泄することはほぼないとされています。

しかし、飼い主さんの気を引くために行動することはあります。

ここでは、その行動心理を正しく理解し、見極めるポイントを解説します。

 

犬の行動や表情から気持ちを読み解く

犬がトイレ以外の場所で排泄した後の様子を観察してみてください。

もし、犬が申し訳なさそうに小さくなっていたり、上目遣いで飼い主を見ていたりする場合、それは「反省」しているわけではありません。

過去に失敗した時に「怒られた恐怖」を思い出して、不安を感じているサインです。

犬は「トイレを失敗したこと」を反省しているのではなく、「排泄物がある＝飼い主が怒る」という単純な結びつきで怯えているだけなのです。

逆に、堂々としている、あるいは全く気にしていない様子であれば、それは「そこがトイレだと思っている」か「生理現象で我慢できなかった」だけの可能性が高いです。

「わざとやったんだろ！」と問い詰めても、犬にはその意図が伝わらず、余計に飼い主さんを怖がるようになってしまうという注意点があります。

 

飼い主の気を引くための行動か確認する

分離不安傾向のある犬や、甘えん坊な性格の犬に見られるのが、「関心を引くための排泄」です。

過去にトイレ以外の場所で粗相をした時、飼い主さんが「あー！ダメじゃない！」と大声を出し、駆け寄ってきてくれた経験はありませんか？

犬にとって、たとえ叱られているとしても、「大好きな飼い主さんが自分に注目してくれた」「構ってくれた」という事実は、一種の**ご褒美（メリット）**になります。

 

• 飼い主が見ている目の前でジャーっとする

• 電話中や他のことに集中している時に限って失敗する

このような場合は、「ここで排泄すれば飼い主さんがこっちを見てくれる」と学習してしまっている可能性があります。

この誤った学習を解くためには、失敗した時に「完全に無視する」ことが最も効果的な結論となります。

 

トイレの失敗を直すための再トレーニング手順

原因が病気でないことが確認できたら、次は「トイレの再トレーニング」を行います。

一度覚えたことを忘れてしまった犬や、間違った癖がついてしまった犬に対しては、子犬の頃よりも根気が必要な場合があります。

しかし、正しい手順を踏めば必ずまたできるようになります。

 

失敗しても絶対に叱らないことが鉄則

再トレーニングにおいて最も重要なルール、それは「失敗しても絶対に叱らないこと」です。

排泄の失敗を見つけた時に、大声で怒鳴ったり、鼻を押し付けたり、叩いたりすることは百害あって一利なしです。

叱ることで発生するデメリットは以下の通りです。

• 排泄すること自体が「悪いこと」だと勘違いし、我慢して膀胱炎になる。

• 飼い主に見つからないように、隠れて（ソファーの裏や別の部屋で）排泄するようになる。

• 排泄物を隠そうとして、食糞（うんちを食べてしまう）行動に出る。

失敗を見つけた時は、犬と目を合わさず、無言かつ無表情で淡々と片付けてください。

犬に「ここでしても何も起きない（注目もされないし、叱られもしない）」と理解させることが、再発防止の第一歩です。

 

トイレの場所や環境を徹底的に見直す

犬がトイレを使いたがらない理由が、トイレ環境そのものにあるケースも多いです。

特に、きれい好きな犬の場合、一度おしっこをしたシーツには二度としたがらないことがあります。

以下のチェックリストを使って、現在のトイレ環境を見直してみましょう。

• 清潔さ： シーツはこまめに交換していますか？トレーは定期的に洗っていますか？

• サイズ： 犬がくるくる回れる十分な広さがありますか？（体長よりも大きいサイズが理想）

• 場所： 人の出入りが激しい場所や、寝床・食事場所のすぐ近くにありませんか？

• 臭い： 以前失敗した場所の臭いが残っていませんか？

特に、カーペットや床に失敗した臭いが残っていると、犬はそこを「トイレ」と認識し続けます。

水拭きだけでなく、ペット専用の消臭スプレーや酵素系漂白剤を使って、臭いの元を完全に断つことが成功への近道です。

 

成功体験を積み重ねて褒めるタイミング

再トレーニングの基本は、「正しい場所でできたら、大げさなほど褒める」ことです。

犬がトイレトレーの上で排泄の体勢に入ったら、「ワンツー」「シーシー」などの合図（コマンド）を優しくかけます。

そして、排泄が終わった直後の1〜2秒以内に、「すごいね！」「えらい！」と高い声で褒めちぎり、最高級のおやつを与えてください。

• トイレですると、飼い主が喜んでくれる！

• トイレですると、美味しいおやつがもらえる！

この「いいこと（メリット）」を強烈に印象付けることで、犬は自ら進んでトイレに行くようになります。

失敗した時は「無視」、成功した時は「お祭り騒ぎ」。

このメリハリこそが、犬の行動を修正する結論です。

 

状況別のトイレ失敗対策と注意点

基本的なトレーニングに加えて、特定のシチュエーションで失敗する場合の具体的な対策を紹介します。

 

引っ越しや模様替えをした直後の対策

環境が変わった直後は、犬もどこがトイレなのか混乱しています。

新しい家や部屋では、以前使っていたトイレトレーやシーツ（自分のおしっこの臭いがついているもの）をそのまま使いましょう。

新品に変えてしまうと、自分の匂いがなくなり、トイレの場所を特定できなくなります。

最初のうちは、行動範囲をサークルや特定の部屋のみに制限し、トイレの場所を明確に教えることからリスタートしてください。

部屋中を自由に歩き回れる状態だと、あちこちにマーキングをしてしまう不安があります。

 

お留守番中や飼い主が見ていない時の対策

飼い主がいる時はできるのに、留守番中だけ失敗するという場合は、分離不安や寂しさが原因かもしれません。

また、フリーにしている範囲が広すぎて、トイレに間に合わないというケースも考えられます。

• 留守番中はケージやサークルに入れ、トイレとの距離を近づける。

• 長時間留守番させる場合は、トイレトレーを複数個設置する。

特に、帰宅時に粗相を見つけても絶対に叱らず、無言で片付けてから、落ち着いて犬と接するようにしてください。

帰宅後の興奮（うれしょん）を防ぐためにも、帰ってすぐには構わず、着替えなどを済ませて犬が落ち着いてから挨拶するのがポイントです。

 

布団やソファなど特定の場所でする場合

羽毛布団、ソファ、カーペットなど、ふかふかした素材の上でおしっこをしてしまう犬は非常に多いです。

これは、犬の足裏の感覚として、吸収性の良い柔らかい素材が「土や草（本来の排泄場所）」に似ているため、本能的に排泄したくなってしまうからです。

対策としては、「物理的に行けないようにする」のが最も確実な結論です。

• 寝室には入れないようにドアを閉める。

• ソファには防水カバーをかけるか、犬が乗れないように物を置く。

• カーペットを撤去し、拭き掃除ができるフロアマットに変える。

「ダメ！」と教えるよりも、失敗できない環境を作ってあげる方が、お互いにとってストレスが少ない解決策となります。

 

老犬がトイレを失敗するようになった時の対処法

シニア犬のトイレ失敗は、しつけの問題ではなく、介護の視点で考える必要があります。

「今までできていたのに」と嘆くのではなく、「今の身体能力に合わせて環境を変える」という発想の転換が重要です。

 

トイレの段差や広さをバリアフリー化する

足腰が弱った老犬にとって、トイレトレーのわずかな段差も大きな障害物となります。

段差をまたぐのが辛くて、トレーの手前で漏らしてしまったり、トレーに入ったつもりでお尻だけ出てしまったりすることが増えます。

 

• 段差をなくす： 薄型のシリコン製トイレマットや、バリアフリー対応のトレーに変更する。

• 広さを確保する： 旋回運動が苦手になるため、スーパーワイドサイズなどの大きなシーツを敷き詰めて、的を広くする。

• 数を増やす： 寝ている場所からトイレまでの距離を短くするため、トイレの数を増やす。

また、滑り止めマットを敷いて、踏ん張りやすくしてあげることも排泄を助けるメリットになります。

 

オムツの活用と肌トラブルのケア

排泄のコントロールが難しくなったり、寝たきりになったりした場合は、無理にトイレでさせようとせず、オムツの導入を検討しましょう。

オムツを使うことで、部屋が汚れるストレスから解放され、飼い主さんも愛犬も穏やかに過ごせるようになります。

ただし、オムツを長時間つけっぱなしにすると、「おむつかぶれ」や「膀胱炎」の原因になります。

 

• 排泄したらすぐに交換する。

• お尻周りをぬるま湯で優しく拭き、清潔に保つ。

• 通気性の良いオムツを選び、時々は外して換気する。

オムツは「諦め」ではなく、老犬との生活を快適にするための「前向きなツール」だという結論を持って、上手に活用してください。

 

よくある質問（FAQ）

成犬になってからでもトイレの再しつけは可能ですか？

はい、何歳からでも可能です。

ただし、子犬の頃よりも間違った癖（習慣）がついている分、修正には時間がかかることがあります。焦らず「叱らない・環境管理・成功したら褒める」の基本を徹底すれば、必ず覚え直すことができます。根気強く向き合うことが重要です。

 

ケージの中ではできるのに、外に出すと失敗します。

トイレと認識している範囲が狭い可能性があります。

ケージの外にもトイレを設置し、遊びの最中でも定期的に（1〜2時間おきに）トイレへ誘導してください。「ケージ外＝排泄禁止」と思っている場合もあるため、ケージ外のトイレで成功した時に最大級に褒めることが解決策です。

 

オス犬が家の中で足を上げておしっこをします。

それは排泄ではなく「マーキング」の可能性が高いです。

縄張り意識や不安から来る行動です。去勢手術で軽減することもありますが、完全になくなるとは限りません。マナーベルト（お腹に巻くオムツ）を活用し、壁や家具を汚さない対策をすることが、飼い主のストレス軽減に繋がる結論です。

 

散歩でしかトイレをしなくなってしまい困っています。

「家＝巣穴（汚してはいけない場所）」という本能が強いタイプです。

災害時や老後のために室内トイレは必要です。散歩で採取したおしっこを染み込ませたシーツを室内のトイレに置き、排泄の合図（ワンツーなど）を関連付ける練習から始めてください。少しでも室内で出たら、大げさに褒めるのがコツです。

 

トイレシートをビリビリに破いて遊んでしまいます。

退屈しのぎや、飼い主の気を引くための行動です。

メッシュカバー付きのトイレトレーに変更して、物理的にシーツに触れないようにするのが最も確実な対策です。また、破いている現場を見ても反応せず（叱らず）、散歩や遊びでエネルギーを発散させてあげることも大切です。

 

まとめ

犬がトイレを覚えたのに失敗するのには、必ず理由があります。

「どうしてできないの！」と感情的になる前に、まずは以下のポイントを確認してみましょう。

• 原因の特定： ストレス、環境変化、病気、老化のどれに当てはまるか考える。

• 病気の除外： 頻尿や血尿などがあれば、迷わず動物病院へ。

• 叱らない： 失敗を叱っても状況は悪化するだけ。無視して淡々と片付ける。

• 環境改善： 清潔さ、サイズ、場所、臭いを見直す。

• 再トレーニング： 成功体験を作り、大げさに褒めて「メリット」を与える。

トイレの失敗は、愛犬からの「助けて」のサインかもしれません。

飼い主さんが心に余裕を持ち、正しい知識でサポートしてあげることで、愛犬は再び自信を取り戻し、トイレを成功できるようになります。

まずは今日から、失敗しても「絶対に叱らない」ことから始めてみませんか？