「愛犬に出血があるけれど、これって生理?」「いつまで続くの?」と不安になっていませんか。
犬の生理(ヒート)は、人間とは異なるサイクルや特徴があり、初めて迎える飼い主さんにとっては戸惑うことも多いものです。
出血の期間や量、散歩やお風呂の可否など、正しい知識がないと愛犬にストレスを与えてしまう可能性もあります。また、避妊手術のタイミングや、病気のサインを見逃さないことも重要です。
この記事では、犬の生理期間の目安から、ヒート中の正しい過ごし方、注意すべき症状までを網羅的に解説します。愛犬の体の変化を正しく理解し、快適に過ごせるようサポートしてあげましょう。
犬の生理(ヒート)期間はいつまで?
犬の生理(ヒート)は、個体差が大きいものの、一般的なサイクルと期間の目安があります。まずは、出血が続く期間や全体の流れを把握しておきましょう。
出血が続く期間(目安は1〜2週間)
犬の生理による出血が見られる期間は、平均して約7日〜14日間(1〜2週間)です。ただし、個体差が非常に大きく、短い子では数日、長い子では3週間近く出血が続く場合もあります。
出血量は、大型犬ほど多く、小型犬では少ない傾向にあります。中には、自分で舐めとってしまい飼い主さんが気づかないほど微量なケース(無出血ヒート)もあります。
出血の色は、最初は濃い赤色ですが、期間が経過するにつれて徐々に薄いピンク色へと変化していきます。出血が止まったからといってすぐに発情が終わるわけではないため、注意が必要です。
生理のサイクル(4つの周期)
犬の発情サイクルは、以下の4つの期間に分類されます。出血が見られるのは「発情前期」ですが、妊娠可能な「発情期」はその後に続きます。
| 周期 | 期間の目安 | 特徴・状態 |
| 発情前期 | 7〜10日間 | 陰部が腫れ出血が始まる。オスを許容しない時期。 |
| 発情期 | 7〜10日間 | 出血が薄くなる。排卵が起き妊娠可能な時期(オスを許容)。 |
| 発情休止期 | 約2ヶ月 | 妊娠していなくてもホルモンバランスが妊娠時と同じになる。 |
| 無発情期 | 4〜8ヶ月 | 卵巣が休んでいる期間。 |
最も注意が必要なのは、出血が治まりかけた「発情期」です。 この時期に交尾をすると妊娠する確率が非常に高くなります。
初潮の時期と閉経の有無
初めての生理(初潮)は、生後6ヶ月〜10ヶ月頃に訪れるのが一般的です。
小型犬は比較的早く、大型犬は1歳を過ぎてから始まることもあります。
また、人間と大きく異なる点として、犬には「閉経」がありません。
高齢になっても生理は続きますが、発情の間隔が空いたり、出血量が減ったりすることはあります。シニア犬になっても子宮の病気(子宮蓄膿症など)のリスクは続くため、避妊手術をしていない場合は生涯にわたって体調管理が必要です。
生理中の症状と行動変化
ヒート中は、ホルモンバランスの急激な変化により、愛犬の心身にさまざまな影響が現れます。「いつもと違う」と感じても、生理による一時的な変化である場合が多いです。
身体的な変化(陰部の腫れ・出血)
最も分かりやすい変化は、外陰部(陰部)の腫れと出血です。
通常時の2〜3倍ほどの大きさに膨らむこともあり、驚く飼い主さんもいますが、これは正常な反応です。
また、乳首が少し大きくなったり、ピンク色に変化したりすることもあります。頻尿(おしっこの回数が増える)になる子も多く、マーキングのような行動が見られることもあります。
行動・気分の変化(食欲不振・落ち着きがない)
ホルモンの影響で、性格や行動にも変化が現れます。
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食欲にムラが出る(食べない、または過食になる)
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ソワソワして落ち着きがない
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いつもより甘えん坊になる
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逆に神経質になり、怒りっぽくなる
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だるそうに寝てばかりいる
これらは生理現象の一部ですので、過度に心配しすぎず、愛犬がリラックスできる環境を作ってあげましょう。
生理痛はある?(基本はないが不快感はあり)
人間のような子宮内膜が剥がれ落ちるメカニズムとは異なるため、犬には「生理痛」はないと言われています。
しかし、お腹の違和感やホルモンバランスの乱れによる「不快感」「だるさ」は感じていると考えられます。お腹をキュッと丸めていたり、触られるのを嫌がったりする場合は、無理に構わずそっとしておいてあげましょう。
生理中の過ごし方と対処法
生理中の愛犬はデリケートです。また、周囲のオス犬への影響も考慮し、トラブルを避けるための配慮が必要です。
散歩は控えるべき?(時間と場所の工夫)
生理中でも散歩自体は問題ありませんが、オス犬との接触は絶対に避ける必要があります。発情中のメス犬のフェロモンは数キロ先まで届くとも言われ、オス犬を興奮させ、トラブルの原因になります。
散歩時の注意点:
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ドッグランやドッグカフェは利用禁止(マナー違反です)。
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他の犬が少ない早朝や夜間を選ぶ。
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いつもより短いコースにする。
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生理用パンツ(マナーパンツ)を着用させる。
愛犬が散歩に行きたがらない場合は、無理に連れ出す必要はありません。室内での遊びで気分転換させてあげましょう。
おむつ・マナーパンツの活用
室内での血液汚れを防ぐために、**犬用のおむつやサニタリーパンツ(マナーパンツ)**が便利です。
メリット:
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ソファやカーペットの汚れを防げる。
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愛犬が陰部を過剰に舐めるのを防げる。
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外出時のマナーとして役立つ。
注意点:
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長時間つけっぱなしは「蒸れ」や「皮膚炎」の原因になる。
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こまめに交換し、陰部周りを清潔に保つ。
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慣れていない子はストレスになるため、少しずつ慣らす。
お風呂・シャンプーの注意点
生理中のシャンプーは、基本的に控えたほうが無難です。
免疫力が低下している時期であり、シャンプーによる体力消耗やストレス、細菌感染のリスクがあるためです。
汚れが気になる場合は、以下の方法でケアしましょう。
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蒸しタオルやボディシートで体を拭く。
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汚れたお尻周りだけをぬるま湯で部分洗いする。
どうしても全身を洗いたい場合は、出血が落ち着いている日を選び、手早く済ませてしっかりと乾かしてください。トリミングサロンへの依頼は、ヒート中は断られることが多いため、事前に確認が必要です。
避妊手術と生理の関係
避妊手術は、望まない妊娠を防ぐだけでなく、将来的な病気のリスクを減らすためにも重要です。
手術のベストタイミング
獣医学的に推奨される避妊手術のタイミングは、「最初の発情(生理)が来る前」です。
| 手術時期 | 乳腺腫瘍の発生率 |
| 初回発情前 | 0.05%(ほぼ予防可能) |
| 2回目の発情前 | 8% |
| 3回目以降 | 26%(予防効果は薄れる) |
もちろん、一度生理が来た後でも手術は可能です。その場合、「発情出血が終わってから2〜3ヶ月後(発情休止期)」に行うのが一般的です。発情中の手術は出血量が増えるリスクがあるため、多くの病院では推奨していません。
生理がこない・長引く原因
生理の周期には個体差がありますが、あまりにも異常な場合は注意が必要です。
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生理がこない:
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栄養不足やストレス。
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ホルモン異常(甲状腺機能低下症など)。
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気づかないうちに終わっている(無出血ヒート)。
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生理が長引く(1ヶ月以上):
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卵巣嚢腫などの疾患。
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子宮蓄膿症や膣炎。
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血液凝固異常。
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1歳半を過ぎても初潮が来ない場合や、出血が1ヶ月以上続く場合は、獣医師に相談してください。
病気のリスク(子宮蓄膿症など)
避妊手術をしていないメス犬で最も怖い病気が「子宮蓄膿症」です。子宮内に細菌が入り込み、膿が溜まってしまう病気で、発見が遅れると命に関わります。
発情出血が終わってから1〜2ヶ月後に発症しやすいため、この時期に体調の変化がないか注意深く観察する必要があります。
こんな時は病院へ(受診の目安)
生理は病気ではありませんが、背後に病気が隠れているケースがあります。以下の症状が見られる場合は、迷わず動物病院を受診してください。
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出血が1ヶ月以上続いている。
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出血量があきらかに多すぎる(貧血気味)。
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陰部から「膿」のようなドロッとしたオリモノが出ている。
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水を飲む量が急激に増えた(多飲多尿)。
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熱っぽく、ぐったりして元気がない。
特に「多飲多尿」と「膿のようなオリモノ」は、子宮蓄膿症の典型的なサインです。緊急手術が必要になることも多いため、早急な対応が求められます。
よくある質問(FAQ)
生理中の犬の匂いは人間にわかりますか?
独特の鉄っぽい匂いや生臭さを感じることがあります。
人間には強く感じなくても、犬同士(特にオス犬)には強烈なフェロモン臭として届きます。室内で匂いが気になる場合は、こまめな掃除や脱臭機、おむつの交換で対策しましょう。
偽妊娠(想像妊娠)とは何ですか?
生理後に妊娠していないのに妊娠したような状態になることです。
発情後1〜2ヶ月頃に起こりやすく、おもちゃを子犬のように守ったり、乳汁が出たりします。病気ではありませんが、乳腺炎や行動異常がひどい場合は治療が必要になることもあります。
生理中の犬におやつをあげてもいいですか?
食欲が落ちているなら、嗜好性の高いおやつやトッピングは有効です。
ただし、ホルモンバランスの影響で太りやすくなる時期でもあります。カロリーオーバーにならないよう量を調整し、添加物の少ない体に優しいものを選んであげましょう。
多頭飼いでオス犬がいる場合はどうすれば?
物理的に部屋を分けるなど、完全な隔離が必要です。
オス犬はヒート中のメス犬の匂いで極度の興奮状態になり、ドアを破壊してでも近づこうとすることがあります。ストレス軽減のため、可能であればどちらかを親戚やホテルに預けるのも一つの方法です。
老犬になって生理が止まることはありますか?
犬に閉経はないため、生理は生涯続きます。
ただし、高齢になると発情周期が不規則になったり、出血量が減って気づきにくくなったりすることはあります。出血がなくても子宮の病気リスクはあるため、定期検診は欠かさないでください。
まとめ
犬の生理(ヒート)は、避妊手術をしていないメス犬にとって自然な生理現象ですが、飼い主さんの適切な管理と配慮が必要です。
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出血期間の目安は1〜2週間(ヒート全体は約1ヶ月)。
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発情期(出血が減った頃)が最も妊娠しやすいタイミング。
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生理中は散歩コースを工夫し、他の犬との接触を避ける。
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お風呂は控え、体を拭くか部分洗いで清潔に保つ。
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「子宮蓄膿症」のリスクがあるため、生理後の体調変化(多飲多尿など)には要注意。
愛犬が不快な時期を少しでも快適に過ごせるよう、優しく見守り、体調管理を徹底してあげてください。もし不安な症状があれば、すぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。



















