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犬の「ちんちん」教え方と注意点!腰への負担やヘルニアリスクを解説

犬の「ちんちん」教え方と注意点!腰への負担やヘルニアリスクを解説

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「愛犬がちょこんと前足を上げてお願いする姿が見たい!」

そんな飼い主さんの憧れである「ちんちん」のポーズ。

愛らしさ満点のこの芸は、コミュニケーションを深める素晴らしい方法ですが、実は教え方を間違えると愛犬の腰に重大なダメージを与えるリスクも潜んでいます。

本記事では、犬への負担を最小限に抑えた正しい「ちんちん」の教え方を4つのステップで徹底解説。

さらに、絶対に無理をさせてはいけない犬種や、椎間板ヘルニアを防ぐための注意点まで、プロの視点で詳しく掘り下げます。

安全に楽しく芸をマスターして、愛犬との絆をより深めましょう。

 

もくじ

犬の「ちんちん」とはどんな芸?

犬の「ちんちん」とはどんな芸?

「ちんちん」と聞くと、その愛らしい響きと共に、犬が必死に何かをおねだりする姿を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、単に可愛いだけでなく、犬の身体能力やバランス感覚を必要とする高度なトリックでもあります。まずは、この芸の基本的な定義と背景について理解を深めましょう。

 

お座りの状態で前足を上げるポーズ

犬の「ちんちん」とは、お座り(シット)をした状態から、お尻を地面につけたまま背筋を伸ばし、両前足を浮かせてバランスを取るポーズのことを指します。

完全に後ろ足だけで立ち上がる「二本足立ち(スタンド)」とは異なり、お尻が地面についているため、比較的安定感があります。このポーズは、犬が飼い主に対して「おやつが欲しい」「遊んで欲しい」といった要求をする際に、自然と行うこともあります。

 

  • 基本姿勢:お尻は地面、背筋は垂直、前足は胸の前あたりで曲げる

  • 難易度:中級(バランス感覚と背筋力が必要)

 

言葉の由来と海外での呼び方

日本語の「ちんちん」というコマンドは、江戸時代から使われていたとも言われ、「鎮座(ちんざ)」や、犬がうずくまる姿を表す「狆(ちん)」という言葉が変化して幼児語化したという説が有力です。

一方、海外ではこのポーズを以下のように呼びます。

 

英語圏での呼び名 ニュアンス
Beg (ベグ) 「乞う」「おねだりする」という意味。最も一般的。
Sit Pretty 「可愛く座る」。行儀よくポーズをとる様子から。
Paws Up 「前足を上げて」。動作そのものを指示する言葉。

 

このように、世界中で愛されているトリックであり、犬の愛嬌を引き出す代表的な芸の一つとして親しまれています。

 

教える前に知っておきたい「ちんちん」のメリット

教える前に知っておきたい「ちんちん」のメリット

「ただ可愛いから」という理由だけで教えるのも良いですが、このトリックには犬の身体や精神面におけるメリットも存在します。正しく行うことで得られる効果を知っておきましょう。

 

体幹トレーニング効果とバランス感覚

「ちんちん」の姿勢をキープするには、犬は腹筋と背筋を使い、後ろ足でバランスを微調整する必要があります。これは、普段四足歩行をしている犬にとって、一種の体幹トレーニング(コアトレーニング)となります。

適度な練習であれば、インナーマッスルを刺激し、身体のバランス感覚を養う効果が期待できます。特に、足腰が弱ってくる前の若いうちからバランス感覚を鍛えておくことは、将来的な転倒防止にも役立つ可能性があります(※ただし、過度な負荷は逆効果です)。

 

飼い主とのコミュニケーション強化

新しい芸を教えるプロセスは、犬と飼い主が1対1で向き合う貴重な時間です。

  • 集中力の向上:飼い主の手元や指示に全神経を集中させる

  • 信頼関係の構築:できたら褒められるという成功体験の共有

「ちんちん」は、お座りや伏せに比べて少し難易度が高いため、習得できた時の達成感も大きく、絆を深める良いきっかけになります。

 

写真映えする可愛いポーズ

SNSやアルバムに残す写真として、「ちんちん」のポーズは非常に人気があります。前足を招き猫のように曲げた姿は、誰が見ても「可愛い!」と感じる瞬間です。

お正月やお誕生日など、記念撮影の際に「ちんちん」ができると、愛犬の魅力が詰まった最高の一枚を撮ることができるでしょう。

 

【実践編】犬に「ちんちん」を教える4ステップ

【実践編】犬に「ちんちん」を教える4ステップ

それでは、実際に教えていきましょう。ここでのポイントは、「焦らず」「短時間で」「褒めちぎる」ことです。犬の背骨への負担を考慮し、1回の練習は数分程度に留めてください。

 

ステップ1:おやつを鼻先に近づけて注目させる

まずは、愛犬の意識を完全にハンドラー(飼い主)に向けさせます。

 

①愛犬に「お座り」をさせます。

②犬の大好きなおやつを手に持ち、犬の鼻先に近づけます。

③おやつの匂いを嗅がせ、「この手の中にご褒美がある」と認識させます。

 

この時、犬がおやつを奪おうとして飛びついてきても、すぐには与えないでください。「座って待つこと」がスタートラインです。

 

ステップ2:頭上に誘導して重心を後ろへ

次に、おやつを使って犬の姿勢をコントロールします。ここが最も重要な誘導(ルアーリング)のフェーズです。

 

①鼻先にあったおやつを、ゆっくりと犬の頭上(後頭部の方へ)動かします。

②犬は視線をおやつに向けたまま、顔を上にあげようとします。

③自然と重心が後ろ足(お尻)の方へ移動します。

 

注意点:おやつを高く上げすぎると、犬が立ち上がってしまったり(ジャンプ)、諦めてしまったりします。「ギリギリ届きそうで届かない高さ」を維持するのがコツです。

 

ステップ3:前足が浮いた瞬間に褒める

重心が後ろに移動し、前足が地面から離れる瞬間を逃さないでください。

 

①犬がバランスを取ろうとして、一瞬でも前足を床から浮かせたら、その瞬間に「よし!」「いいこ!」と声をかけます。

②すぐにおやつを与えます。

③最初は姿勢をキープできなくて構いません。「前足を浮かせると良いことがある」と学習させることが目的です。

 

これを何度も繰り返し、徐々に前足を浮かせている時間を1秒、2秒と伸ばしていきます。

 

ステップ4:ハンドサインと言葉を関連付ける

動作がスムーズになってきたら、言葉の合図(コマンド)と手の動き(ハンドサイン)を付け加えます。

 

①おやつを持った手を上げる動作に合わせて「ちんちん」と声をかけます。

②できたら褒めてご褒美を与えます。

③徐々におやつを持たずに、手の動きだけで指示を出してみます。

④最終的に、言葉とハンドサインだけでポーズが取れるようになれば完成です。

 

愛犬が「ちんちん」をできない・しない理由

愛犬が「ちんちん」をできない・しない理由

何度練習してもできない場合、そこには明確な理由があります。無理強いは怪我や信頼関係の悪化につながるため、原因を見極めることが大切です。

 

後ろ足や腹筋の筋力が不足している

最も多い理由は、姿勢を維持するための筋力不足です。特に子犬や、運動不足の成犬の場合、背筋を伸ばしたまま静止する筋肉が発達していません。

 

  • すぐにフラフラしてしまう

  • コロンと後ろに倒れてしまう

 

このような場合は、筋力がつくまで焦らず、一瞬浮いただけでも褒めるようにして、徐々に必要な筋肉を育てていきましょう。

 

恐怖心や警戒心が勝っている

お腹を見せるという行為は、犬にとって急所を晒すことであり、本来は無防備な姿勢です。

 

  • 臆病な性格の犬

  • 飼い主との信頼関係がまだ浅い犬

  • 保護犬などで過去にトラウマがある犬

 

これらの犬は、無防備な姿勢をとることに抵抗を感じる場合があります。まずはリラックスできる環境を作り、「お座り」や「伏せ」などの基本的な服従訓練で自信をつけてから再チャレンジしてください。

 

過去に嫌な経験をしている

練習中に飼い主が厳しく叱ったり、バランスを崩して転んで痛い思いをしたりした経験があると、犬は「ちんちん=嫌なこと」と記憶してしまいます。

トレーニングは常に楽しい雰囲気で行うのが鉄則です。もし犬が嫌がる素振りを見せたら、その日は練習を中止し、別の得意な芸をさせて褒めて終わるようにしましょう。

 

絶対に無視できない「ちんちん」の危険性と注意点

絶対に無視できない「ちんちん」の危険性と注意点

ここが本記事で最も重要なパートです。「ちんちん」は可愛らしい反面、犬の骨格構造上、非常に不自然な姿勢であることを理解しなければなりません。

 

腰や股関節への負担が大きい

犬の背骨は、四足歩行に適した「橋」のような構造をしています。重力を四本の足で分散して支えるのが本来の姿であり、垂直方向の重力には強くありません。

「ちんちん」のポーズは、体重のほぼ全てを腰椎(腰の骨)と股関節で支えることになります。これにより、椎間板に強い圧縮力がかかり、日常的に繰り返すことでダメージが蓄積されていきます。

 

椎間板ヘルニアのリスク

最も恐れるべきは「椎間板ヘルニア」の発症です。

  • 症状:抱っこを嫌がる、震える、歩き方がおかしい、後ろ足が麻痺する

  • リスク:無理な姿勢を続けることで、椎間板物質が飛び出し、神経を圧迫する

特に、「ちんちん」の最中にバランスを崩して腰をひねったり、後ろに転倒したりした際の衝撃は、ヘルニアの直接的な引き金になり得ます。

 

フローリングなど滑る場所は厳禁

ツルツル滑るフローリングの上での練習は、自殺行為と言っても過言ではありません。

足が滑ると、犬は踏ん張るために股関節や腰に過度な力を入れます。これがぎっくり腰や関節炎の原因となります。練習する際は、必ず以下の場所で行ってください。

  • 滑り止めの効いたマットやカーペットの上

  • 芝生の上

  • ヨガマットの上

 

長時間の維持は避けるべき理由

「マテ」をさせて長時間「ちんちん」をキープさせることは、百害あって一利なしです。筋肉疲労から姿勢が崩れ、骨への負担が急増します。

芸として披露する場合でも、数秒程度で切り上げ、「長時間できること」を自慢にするのはやめましょう。愛犬の健康を守るのは飼い主の責任です。

 

「ちんちん」をさせない方が良い犬種・ケース

「ちんちん」をさせない方が良い犬種・ケース

全ての犬がこの芸に適しているわけではありません。獣医学的な観点から、そもそも教えるべきではない、あるいは禁止すべき犬種や個体が存在します。

以下の表に該当する場合は、「ちんちん」以外の芸(あご乗せ、お手など)でコミュニケーションを楽しむことを強く推奨します。

 

カテゴリ 具体的な犬種・特徴 理由
胴長短足種 ダックスフンドコーギー、バセットハウンド 背骨が長く、テコの原理で腰への負担が倍増するため。ヘルニア好発犬種No.1。
短頭種 フレンチブルドッグ、パグ、ペキニーズ 上半身が重く、重心が高いため腰への負荷が大きい。また呼吸器への負担も懸念される。
超小型犬 チワワ、トイプードル、ポメラニアン 骨が華奢で、バランスを崩した際の骨折リスクが高い(※個体差あり)。
既往歴あり 過去に腰痛、ヘルニア、パテラと診断された犬 再発のリスクが極めて高い。絶対安静の姿勢とは真逆の行為。

ダックスフンドやコーギーなどの胴長犬種

ダックスフンドやコーギーは、遺伝的に軟骨異栄養症(軟骨が硬くなりやすい性質)を持っていることが多く、若くてもヘルニアになりやすい犬種です。彼らにとって、背骨を垂直にする行為は、寿命を縮めるリスクすらあります。可愛さよりも安全を優先し、この芸は教えないのが賢明です。

 

肥満気味の犬やシニア犬

体重が重い犬が「ちんちん」をすると、その重量が全て腰にかかります。まずはダイエットが先決です。

また、シニア犬は筋力が低下しており、関節も硬くなっています。若い頃はできていたとしても、高齢になったら無理にさせない配慮が必要です。

 

膝蓋骨脱臼(パテラ)の診断を受けている犬

小型犬に多い「膝のお皿がズレる」病気、パテラ(膝蓋骨脱臼)。後ろ足に体重を集中させる「ちんちん」は、膝関節にねじれや負荷を与え、脱臼を悪化させる可能性があります。グレードが低い(軽度の)場合でも、悪化を防ぐために避けるべきです。

 

よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

子犬のうちから教えても大丈夫?

生後半年未満の骨格形成期は避けるべきです。骨や関節が柔らかく、変形や怪我のリスクが高いため、本格的な練習は成犬になって骨格が完成してからにしましょう。

 

「ちんちん」と「たっち(二本足立ち)」の違いは?

「ちんちん」はお尻を地面につけて座った状態、「たっち」は後ろ足だけで完全に立ち上がる状態です。「ちんちん」の方が比較的安定していますが、どちらも腰への負担には注意が必要です。

 

練習時間はどれくらいが適切ですか?

1回あたり2〜3分、1日数回が目安です。犬の集中力は長く続きませんし、筋肉疲労を防ぐためにも短時間で切り上げ、成功体験で終わらせることが大切です。

 

練習中に犬が震えるのはなぜ?

筋力不足でプルプルしているか、どこかに痛みを感じている可能性があります。直ちに練習を中止してください。痛がる様子が続くようなら獣医師の診察を受けましょう。

 

おやつがないとやってくれません。

最初はご褒美が必要ですが、徐々に褒め言葉や撫でることに移行します。「ご褒美がもらえる確率」をランダムにする(3回に1回など)ことで、おやつがなくても指示に従うようになります。

 

勝手に「ちんちん」をしておねだりします。止めさせるべき?

腰への負担を考えると、過度な自発的行動は止めさせた方が無難です。この場合、要求に応えず徹底的に無視をするか、「伏せ」などの腰に負担のかからないコマンドを出して、そちらに従った時に褒めるようにします。

 

まとめ

犬の「ちんちん」は、愛犬の可愛さを引き出し、飼い主との絆を深める楽しいトリックです。しかし、その背後には腰や関節への大きな負担というリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。

  • 基本フォーム:お尻をつけて背筋を伸ばす。

  • 教え方のコツ:おやつで少しずつ誘導し、一瞬でも浮いたら褒める。

  • 安全対策:滑らない床で行い、短時間で切り上げる。

  • 絶対禁止:ダックスやコーギー、ヘルニア予備軍の犬には教えない。

愛犬の健康を守れるのは飼い主さんだけです。「可愛いから」という理由だけで無理をさせず、愛犬の体型や体調と相談しながら、安全第一でトレーニングを楽しんでください。

 

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