激安犬1万〜5万の真実！安さの理由と購入前に知るべきリスク

「犬を飼いたいけれど、予算は限られている」「1万〜5万円で買える激安犬がいるって本当？」

そんな疑問を持ち、情報を探している方は少なくありません。結論から言えば、1万〜5万円で犬を迎えることは物理的に可能です。

しかし、そこには「安さには必ず理由がある」という厳しい現実と、初心者が陥りやすい「高額な追加費用」の罠が潜んでいます。

この記事では、激安犬が販売される裏事情から、購入後に後悔しないためのチェックポイント、そして安全に安く犬を迎えるための具体的なルートを徹底解説します。

「生体価格の安さ」だけに釣られて、結果的に大損をしたくない方は、ぜひ最後まで目を通してください。

1万〜5万円の激安犬はどこにいる？3つの主要な入手ルート

通常、20万〜40万円が相場とされる子犬市場において、なぜ1万〜5万円という破格の犬が存在するのでしょうか。まずは、そのような犬に出会える3つの主要な場所について解説します。

大手ペットショップの「売れ残り」や決算セール

最も一般的なのが、大型ショッピングモールやホームセンターに入っている大手ペットショップです。

ここでは、生後半年を過ぎた犬や、決算期（3月・9月など）に合わせて大幅な値下げが行われることがあります。

特に、新しい子犬が次々と入荷する店舗では、ケージのスペースを確保するために、「在庫処分」のような形で価格を下げざるを得ない事情があります。

ゴールデンウィークや年始のセールでは、目玉商品として1万円〜3万円の値札が付けられるケースも珍しくありません。

ブリーダー直販の繁殖引退犬や規格外の子

ブリーダーから直接購入する場合も、格安で譲り受けられるケースがあります。

• 繁殖引退犬：繁殖の役目を終えた4〜6歳前後の成犬。

• 規格外の子：サイズが大きすぎる、少し足が短いなど、ショータイプとしての基準から外れた子犬。

これらは健康上問題がなくても、市場価値が低いと判断され、数万円、あるいは無償に近い価格で譲渡されることがあります。

里親募集サイトや譲渡会の保護犬（譲渡費用）

厳密には「購入」ではありませんが、保護団体や保健所から譲渡を受ける方法です。

生体価格は0円ですが、保護期間中の医療費やワクチン代、活動協力金として3万〜6万円程度の譲渡費用が発生するのが一般的です。

この費用は「犬の代金」ではなく、「次の命を救うためのバトン」として支払うものであり、1万〜5万円の予算内で犬を迎える現実的な選択肢の一つとなります。

なぜそこまで安いのか？価格崩壊の裏にある5つの理由

「元気なのに1万円」というポップを見ても、すぐに飛びついてはいけません。販売側がその価格に設定した明確な理由を理解しておく必要があります。

「生後6ヶ月以上」など月齢が経過している

日本の子犬市場では、生後2〜3ヶ月の「一番小さくて可愛い時期」が最も高値で取引されます。生後4ヶ月を過ぎると価格は下がり始め、生後6ヶ月を超えると「成犬扱い」となり、価格が暴落します。

体はすでに大人サイズに近づいており、「子犬から育てたい」という層の需要から外れるため、早く売り切るために激安価格が設定されます。

噛み合わせやミスカラーなど外見上の欠点

健康には影響がないものの、見た目の基準から外れているケースです。

• オーバーショット・アンダーショット：あごの噛み合わせがずれている。

• ミスカラー：犬種標準にはない毛色が混ざっている。

• デベソ（臍ヘルニア）：軽度のものであれば手術不要な場合も多い。

これらは「訳あり」として明記され、1万〜5万円の低価格帯に並ぶ主な理由となります。

人気のない毛色や雑種（ミックス犬）

トイプードルやチワワなどの人気犬種でも、流行から外れた毛色は安くなる傾向があります。

また、意図せず生まれた雑種（ミックス犬）や、需要の少ない中型犬・雑種犬も価格が付きにくいため、安価で販売されます。

治療可能な軽度のヘルニアや持病持ち

購入後に手術や継続的な治療が必要になる可能性がある場合、生体価格を極端に下げて販売することがあります。

「鼠径（そけい）ヘルニア」や「膝蓋骨脱臼（パテラ）」のグレードが低いものなどが該当します。

「治療費は飼い主負担」という条件付きで安くなっていることが多いため、契約書をよく確認する必要があります。

繁殖能力を終えたリタイヤ犬である

ブリーダー崩壊や、繁殖業者の縮小に伴い、繁殖に使われていた犬が市場に流れてくることがあります。

これらは子犬ではなく成犬であり、これまで家庭犬として暮らしていなかったため、トイレのしつけなどが一から必要になる場合があります。

飛びつく前に知るべき「激安価格」の裏側とリスク

ここが最も重要なパートです。「生体価格1万円」＝「総支払額1万円」ではありません。 多くの初心者がここでトラブルに巻き込まれます。

生体代より高い？強制加入のパック料金と定期購入

激安ペットショップのビジネスモデルの多くは、生体価格を下げて集客し、付帯サービスで利益を出す仕組みです。

• 安心パック／生命保証：5万〜8万円（必須加入）

• 指定フードの定期購入：月々5,000円×24ヶ月契約（解約金あり）

• 指定ペット保険：加入必須

これらを合計すると、生体価格が1万円でも、初期費用が15万〜20万円を超えることは日常茶飯事です。必ず見積もりの「総額」を確認してください。

購入直後に入院？健康リスクと高額な医療費

安くなっている理由が「管理不足による体調不良」である場合、家に迎えて数日でパルボウイルス感染症や寄生虫などが発覚し、入院が必要になることがあります。

激安で購入した犬の治療費に、数十万円の医療費がかかるケースも珍しくありません。「安物買いの銭失い」になる最大のリスクがここにあります。

警戒心が強い？社会化不足によるしつけの難しさ

長期間ペットショップの狭いショーケースに入れられていた「売れ残り」の犬は、外の世界や人間との触れ合いが不足しています。これを「社会化不足」と呼びます。

• 極度に怖がりで吠え続ける

• 散歩で歩けない

• トイレを寝床でする癖がついている

子犬期に学ぶべきことを学べなかった犬は、しつけに根気と専門知識が必要になります。初心者が「安いから」という理由だけで手を出すと、育児ノイローゼになる危険性があります。

失敗しないために！安くても健康な犬を見極めるポイント

それでも予算を抑えて犬を迎えたい場合、以下のチェックポイントを必ず現場で確認してください。遠慮は無用です。

抱っこした時の反応と体の肉付きを確認する

必ず抱っこをさせてもらいましょう。

• 極端に痩せていないか？（背骨やあばらが浮き出ていないか）

• 抱っこされた時に暴れすぎたり、逆に無反応すぎないか？

• 被毛にツヤはあるか？

ガリガリに痩せている犬は、寄生虫や消化器系の病気を抱えている可能性があります。

目ヤニ・耳の汚れ・お尻の清潔さをチェック

健康状態は細部に現れます。

• 目：緑色や黄色の目ヤニがべっとりついていないか。

• 耳：黒い耳垢が溜まっていないか（耳ダニの可能性）。

• お尻：肛門周りが汚れていたり、赤くただれていないか（下痢の兆候）。

これらに異常がある場合、管理が行き届いていない証拠です。治療費がかさむ可能性が高いため、購入は見送るべきです。

店員やブリーダーに必ず聞くべき「安さの理由」

「なぜこの子だけこんなに安いのですか？」とストレートに聞いてください。

• 「月齢が経っているからです」

• 「少し噛み合わせが悪いです」

このように明確な理由を説明してくれる店は信用できます。逆に、「セールだからです」「特に理由はないです」と言葉を濁す場合は、隠れた病気やトラブルのリスクが高いため注意が必要です。

1万〜5万円で犬を迎えるための具体的な手順

リスクを理解した上で、実際に低予算で犬を迎えるための安全な手順を紹介します。

譲渡会や保護団体のサイトをこまめにチェックする

最も推奨されるのは、保護犬を迎える方法です。「ペットのおうち」や「OMUSUBI」などの里親募集サイトでは、譲渡費用（医療費負担）が明記されています。

2万〜5万円程度で、ワクチン接種や避妊去勢済みの成犬に出会えるチャンスがあります。ショップのような「隠れオプション」がないため、金銭的な透明性が高いのがメリットです。

郊外の大型ペットショップのセール時期を狙う

都心のショップよりも、郊外の大型ホームセンター併設店の方が、元々の価格設定が安い傾向にあります。

• ゴールデンウィーク

• 年末年始

• 決算期（3月・9月）

これらの時期に、実際に店舗に足を運び、上記で挙げた健康チェックを念入りに行った上で判断しましょう。「パック料金」を含めた総額見積もりを最初に出してもらうことが鉄則です。

よくある質問（FAQ）

激安犬はすぐに死んでしまうことが多いですか？

必ずしも短命とは限りません。 安さの理由が「月齢」や「見た目」であれば、寿命は通常の犬と変わりません。ただし、「病気」が理由で安くなっている場合は、購入後のケア次第でリスクが高まります。購入前の健康チェックが命綱となります。

保護犬の譲渡は無料ではないのですか？

完全無料は稀です。 多くの保護団体では、保護期間中にかかった医療費（ワクチン、避妊去勢、駆虫など）の一部負担として、3万〜6万円程度の譲渡費用を設定しています。これは営利目的ではなく、活動を継続するための実費です。

ペットショップの「生体代0円」などのカラクリは？

高額な定期契約が条件になっていることがほとんどです。 例えば「指定フードの3年契約」や「高額なサポートパック加入」が必須条件となり、結果的に20万円以上の支払いが発生するケースが大半です。契約内容を隅々まで確認してください。

1万円の犬でもペット保険は必要ですか？

むしろ激安犬こそ加入を推奨します。 環境変化によるストレスや、隠れていた疾患が発症するリスクがあるためです。ただし、ショップ指定の保険ではなく、自分で比較して必要な補償内容を選んで加入することをおすすめします。

初心者が成犬（売れ残り）を飼うのは難しいですか？

トイレのしつけ等で苦労する可能性があります。 ショップのケージ生活が長い犬は、排泄の習慣が乱れていることが多いです。しかし、子犬のような「甘噛み」や「夜泣き」は落ち着いていることも多く、根気強く向き合えるなら、落ち着いたパートナーになる可能性も十分にあります。

まとめ

1万〜5万円で犬を購入することは可能ですが、そこには「安さの理由」が存在します。

• 入手ルート：売れ残りセール、ブリーダー引退犬、保護犬の譲渡。

• 安さの理由：月齢経過（成犬）、外見の欠点、隠れ疾患の可能性。

• 最大のリスク：「必須オプション」による総額の高騰と、購入後の医療費。

「安いから」という理由だけで衝動買いするのは非常に危険です。生体価格だけでなく、「パック料金を含めた総額」と「将来かかる医療費」まで見越して判断することが、あなたと犬の幸せな生活を守るための唯一の方法です。

まずは、お近くの譲渡会や信頼できるブリーダーの情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。