猫の顎に、ゴマのような黒いブツブツがついているのを見つけたことはありませんか。
「ただの汚れかな」と思って放置しがちですが、実はそれは**「顎痤瘡(がくざそう)」と呼ばれる猫特有の皮膚疾患、いわゆる猫のニキビです。**
猫のニキビは、初期段階では見た目の問題だけで済むことが多いものの、放置すると細菌感染を引き起こし、赤く腫れ上がったり、出血や痛みを伴う重症の状態に陥ることがあります。
本記事では、猫のニキビが発生する根本的な原因から、自宅で安全に行えるケアの手順、そして動物病院を受診すべき判断基準までを、飼い主様が今日から実践できる具体的な情報としてまとめました。
もくじ
猫のニキビ(顎痤瘡)とは?黒いブツブツの正体
猫の顎に見られる黒い粒のようなものは、**毛穴に詰まった角質や皮脂が酸化して黒ずんだものです。
**人間でいう「いちご鼻」の角栓に似た状態をイメージすると分かりやすいでしょう。
猫の顎には皮脂腺が密集しており、分泌された皮脂がスムーズに排出されないと、毛包(毛穴)が詰まってしまいます。これがニキビの始まりです。
初期の段階では痛みも痒みもありませんが、この詰まった皮脂を餌にして雑菌が繁殖し始めると、炎症が起こります。
猫にとって顎は自分では毛づくろい(グルーミング)がしにくい場所であるため、一度発症すると自然に治りにくく、再発を繰り返しやすいという特徴があります。
なぜ猫にニキビができるのか?考えられる5つの原因
猫のニキビの原因は一つではなく、複数の要因が重なり合っていることがほとんどです。愛猫の生活環境を振り返り、どの項目に当てはまるかを確認することが解決への近道です。
1. 不衛生な食器の使用
プラスチック製の食器を使用している場合、表面の細かな傷に細菌が繁殖しやすくなります。
食後に顎が汚れたまま、不衛生な食器に触れ続けることで、毛穴に細菌が入り込みやすくなります。
2. 皮脂分泌の過剰と加齢
体質的に皮脂の分泌が多い猫や、加齢による免疫力の低下、ホルモンバランスの変化によってニキビができやすくなることがあります。
3. 毛づくろい不足(グルーミング不足)
高齢や肥満、口内炎などの痛みによって、顎の下を適切にセルフグルーミングできない場合、皮脂が蓄積しやすくなります。
4. ストレスによる免疫低下
引っ越し、新しい同居動物の登場、環境の変化によるストレスは、猫の皮膚のバリア機能を低下させます。
ストレスは皮膚のターンオーバーを乱し、角質を詰まらせる要因となります。
5. フードの酸化やアレルギー
キャットフードに含まれる脂質が酸化していたり、特定の原材料に対するアレルギー反応として皮膚トラブル(ニキビ)が現れるケースもあります。
以下の表に、ニキビの原因となりやすい要素と、その対策をまとめました。
| 原因カテゴリー | 具体的なリスク | 推奨される改善アクション |
| 食器環境 | プラスチック製の傷・汚れ | 陶器やステンレス製への交換 |
| 衛生管理 | 食後の食べかす放置 | 食後、濡れタオルで優しく拭く |
| 食事内容 | 酸化した油・高脂質フード | 開封後1ヶ月以内の消費・フードの見直し |
| 体質・病気 | グルーミング不足 | 飼い主によるデイリーケアの実施 |
| 生活環境 | ストレス・免疫力低下 | 安心できるパーソナルスペースの確保 |
これらの原因を特定し、一つずつ取り除いていくことが、ニキビを根本から治すために必要不可欠なステップです。
自宅でできる!猫のニキビの正しいケア手順
「黒いブツブツを早く取ってあげたい」という一心で、爪で無理やり剥がそうとするのは絶対にやめてください。無理な剥離は皮膚を傷つけ、そこから細菌が入って化膿する原因になります。
正しいケアの基本は「ふやかして浮かせる」ことです。
ステップ1:ぬるま湯で蒸らす
清潔なコットンやガーゼを38〜40度程度のぬるま湯で湿らせます。それを猫の顎に1〜2分ほど優しく当てて、毛穴を開かせ、固まった黒い粒を柔らかくふやかします。
猫が嫌がらないよう、優しく声をかけながらリラックスした状態で行ってください。
ステップ2:優しく拭き取る
ふやけた黒い粒を、コットンの面を変えながら優しく撫でるように拭き取ります。一度にすべて取ろうとせず、浮き上がってきた分だけを取り除くのがコツです。
ステップ3:水分を拭き取る
ケアの後は、乾いた清潔なタオルで水分をしっかり拭き取ってください。湿ったまま放置すると、逆に雑菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
注意点:消毒薬の使用について
市販のアルコール消毒液や人間用のニキビ薬は、猫の皮膚には刺激が強すぎます。また、猫が舐めてしまうと中毒を起こす危険性があるため、自己判断で薬を塗ることは控え、必ず動物病院で処方されたものを使用しましょう。
動物病院へ行くべき症状のチェックリスト
自宅ケアで改善が見られない場合や、症状が悪化している場合は、早急に獣医師の診察を受ける必要があります。
「たかがニキビ」と侮ると、皮膚が壊死したり、全身に感染が広がる恐れがあるからです。
以下の症状が一つでも見られる場合は、受診を推奨します。
動物病院では、顕微鏡検査で細菌やマラセチア(カビの一種)、寄生虫(ニキビダニなど)がいないかを確認します。
治療には、抗生物質や抗真菌薬の内服・外用、薬用シャンプーによる洗浄などが用いられます。早期に治療を開始すれば、それだけ猫の負担を減らすことができます。
二度と繰り返さないための再発防止策
猫のニキビは一度治っても、環境が変わらなければ高い確率で再発します。
毎日のルーティンに以下の工夫を取り入れ、ニキビができにくい体質と環境を作りましょう。
食器の衛生管理を徹底する
前述の通り、食器は毎日必ず洗い、清潔を保ってください。
陶器製やガラス製の食器は、表面に傷がつきにくく細菌が溜まりにくいため、非常に有効です。また、顎が食器に当たりにくい広口の形状を選ぶことも検討しましょう。
食後の「拭き拭き習慣」
猫は食後、自分で顔を洗いますが、顎の下までは届きません。
食後すぐに、飼い主さんが濡れたコットンなどでサッと拭いてあげるだけで、**皮脂の蓄積を大幅に抑えることができます。**これを習慣化するだけで、再発率が劇的に下がります。
良質な脂質の摂取
皮膚のバリア機能を高めるために、オメガ3脂肪酸などが含まれるサプリメントや、酸化対策がなされたプレミアムフードへの切り替えも一つの手です。
ただし、食事の変更は必ず少量ずつ行い、猫の体調を見ながら実施してください。
よくある質問
猫のニキビに関して、飼い主様からよく寄せられる質問をまとめました。
Q:猫のニキビは他の猫や人間にうつりますか?
A:**猫のニキビ(顎痤瘡)自体が人や他の猫にうつることはありません。
**ただし、ニキビが悪化して糸状菌(カビ)などの二次感染を起こしている場合は、接触によってうつる可能性があるため注意が必要です。
Q:市販の人間用オロナインなどは塗っても大丈夫ですか?
A:**絶対に避けてください。
**オロナインに限らず、人間用の薬には猫にとって有害な成分が含まれていることがあります。
また、猫は塗られたものを舐めてしまう習性があるため、内臓に負担をかけるリスクが非常に高いです。
Q:お風呂に入れて洗えば治りますか?
A:全身をお風呂に入れることは、猫にとって大きなストレスになることが多く、かえって免疫を下げてしまう可能性があります。
**顎だけを薬用シャンプーで部分洗浄するほうが効果的かつ低刺激です。**具体的な洗浄方法は獣医師に相談してください。
Q:ニキビができやすい猫種はありますか?
A:特定の猫種というよりも、**顎の形や毛の密度、体質に左右されます。
**ペルシャやエキゾチックショートヘアのような顔が平たい猫種(短頭種)は、食後に顔が汚れやすく、ケアが必要な傾向があります。
Q:いつまでケアを続ければ良いですか?
A:黒いブツブツがなくなっても、**予防としての拭き取りケアは継続することをお勧めします。
**猫のニキビは体質に起因する部分が大きいため、ケアを完全にやめると再発することが多いからです。
Q:お茶や緑茶の殺菌効果で顎を拭いても大丈夫ですか?
A:民間療法として語られることがありますが、**猫の皮膚は人間以上にデリケートであり、お茶に含まれる成分が刺激になる恐れがあります。
**殺菌効果を期待して自己判断で試すよりも、清潔なぬるま湯や獣医師が推奨する専用の洗浄液を使用するほうが安全かつ確実です。
良かれと思って行った処置が、かえって炎症を悪化させる原因になることもあるため注意しましょう。
Q:完全室内飼いの猫でもニキビになることはありますか?
A:はい、**外出の有無に関わらず、室内飼いの猫でもニキビは頻繁に発生します。
**むしろ室内環境における食器の衛生状態や、冷暖房による空気の乾燥、運動不足による代謝の低下などが引き金になるケースも少なくありません。
「外に出ないから皮膚病にはならない」と過信せず、日頃のスキンシップの中で顎の状態をこまめにチェックしてあげることが、早期発見と早期治療に繋がります。
Q:多頭飼いの場合、食器の共用は避けるべきでしょうか?
A:ニキビそのものが直接感染することはありませんが、**食器に付着した細菌が他の猫の顎に触れることで、皮膚トラブルを誘発するリスクはあります。
**特にプラスチック製の食器を複数の猫で使い回すと、傷の中に潜む雑菌を広める結果になりかねません。
可能であれば猫一頭につき専用の陶器製食器を用意し、常に清潔な状態で食事を与えられる環境を整えることが、再発防止において非常に有効な手段となります。
まとめ
猫のニキビは、日々のちょっとした変化から始まる皮膚のサインです。
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顎の黒い粒は「顎痤瘡」という病気であり、放置は禁物である
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無理に剥がさず、ぬるま湯でふやかして優しく拭き取ることが基本
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食器を陶器製に変え、食後の拭き取りを習慣化することが再発防止の鍵
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炎症や膿、痛みが見られる場合は、迷わず動物病院を受診する
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人間用の薬は絶対に使わず、猫専用のケアを徹底する
愛猫が健やかな毎日を過ごすためには、飼い主さんの優しく正しいケアが欠かせません。
顎の下の小さな変化にいち早く気づき、清潔でストレスのない環境を整えてあげることで、ニキビの悩みから解放してあげましょう。
顎の健康状態は全身の健康状態を映す鏡でもあります。毎日のスキンシップを通じて、愛猫のわずかな変化を見逃さないようにしてください。
もし自分でのケアに不安を感じたら、プロである獣医師に相談し、適切なサポートを受けることが愛猫にとっても飼い主さんにとっても一番の安心に繋がります。

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顎全体が赤く腫れている
膿が出ていたり、嫌な臭いがする
出血や、ひどいかさぶたができている
猫が顎を痛がったり、痒がって強く掻きむしっている
顎の毛が抜けて、地肌が露出している