トイプードルは、そのぬいぐるみのような愛らしい外見から、日本で最も人気のある犬種の一つとして長年愛され続けています。
しかし、その人気の理由は決して見た目だけではありません。トイプードルの最大の魅力は、全犬種の中でもトップクラスと言われる「知能の高さ」と、人間に寄り添う「深い愛情」にあります。
この記事では、トイプードルの性格について、毛色や性別による違い、そしてその高い知能を活かしたしつけの方法まで、詳しく解説していきます。
もくじ
トイプードルの基本的な性格:全犬種トップクラスの知能と愛情深さ
トイプードルの性格を一言で表すなら、**「非常に賢く、社交的で甘えん坊」**です。
もともと水鳥の回収犬(プードル)を小型化した歴史を持つため、作業能力が高く、飼い主の指示を理解しようとする意欲が非常に強いのが特徴です。
トイプードルの主な性格的特徴をまとめると、以下のようになります。
トイプードルは、初めて犬を飼う方にとっても非常に扱いやすい性格をしています。
しかし、その賢さゆえに、飼い主が曖昧な態度をとると「この人にはわがままが通る」と学習してしまう一面もあります。
【毛色別】トイプードルの性格の違いと特徴
トイプードルには豊富なカラーバリエーションがありますが、古くから「毛色によって性格の傾向が異なる」と言われてきました。
もちろん個体差は大きいですが、一般的に言われている色別の性格を比較してみましょう。
毛色ごとの性格傾向を整理すると、以下の表のようになります。
レッドやアプリコットは、活発で遊び好きな性格が強く出る傾向にあります。
そのため、一緒にアウトドアを楽しんだり、活発に遊びたい家庭に向いています。
一方で、ブラックやホワイトは非常に安定した性格をしており、しつけのしやすさを重視する方に適しています。
ただし、これらはあくまで統計的な傾向であり、「何色のプードルだから絶対にこういう性格だ」と決めつけるのは禁物です。
育った環境や親犬からの遺伝、そして何より飼い主との関わり方が、その子の性格形成に最も大きな影響を与えます。
オスとメスで性格は変わる?性別による傾向の差
毛色だけでなく、性別によっても性格の出方に違いが見られます。
一般的には、オスは「永遠の子供」、メスは「自立した大人」と例えられることが多いです。
オスとメスの性格の主な違いを以下にまとめました。
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オスの性格:
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素直で甘えん坊。飼い主に対していつまでも子犬のような愛情をぶつけてくる。
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単純でしつけが入りやすいが、メスに比べて集中力が切れやすい。
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縄張り意識が強く、マーキングや吠えなどの行動が出やすい傾向がある。
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メスの性格:
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精神的に成熟するのが早く、落ち着きがある。自立心が強く、一人の時間も楽しめる。
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気分の浮き沈みがある場合があり、猫のように「今は放っておいてほしい」という態度を見せることもある。
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オスに比べて支配欲が少なく、多頭飼いにおいて先住犬との折り合いをつけやすい。
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「べったりと甘えてほしい」という方はオス、「落ち着いた距離感で過ごしたい」という方はメスを選ぶ傾向にあります。
ただし、去勢・避妊手術を行うことで、ホルモンバランスによる性格の偏りは緩和されるのが一般的です。
トイプードルを飼う前に知っておきたい「性格の裏側」と注意点
トイプードルは「飼いやすい犬種」の筆頭に挙げられますが、その性格ゆえの苦労もあります。
賢すぎるがゆえの悩みは、実際に飼ってみないと気づかないポイントです。
トイプードルの性格に関する注意点として、以下の3つのポイントを理解しておく必要があります。
1. 分離不安になりやすい
トイプードルは非常に愛情深く、飼い主との絆を重視します。
そのため、**飼い主への依存心が強くなりすぎてしまう「分離不安」**に陥りやすい傾向があります。
留守番中にずっと吠え続けたり、家具を破壊したり、自分の手足を舐め続けたりする行動が見られる場合は注意が必要です。
2. 「ずる賢さ」を発揮することがある
知能が高いため、「どうすれば自分の要求が通るか」を瞬時に理解します。
例えば、少し吠えたときに飼い主が慌てておやつをあげてしまうと、「吠えればおやつがもらえる」と学習してしまいます。
これを「要求吠え」と呼びますが、賢いプードルほど、この学習スピードが早いため注意が必要です。
3. 神経質な一面と運動不足の影響
トイプードルは感覚が鋭いため、些細な物音や環境の変化に敏感です。
また、小型犬ながら運動能力が非常に高いため、運動不足によるストレスがたまると、攻撃的になったり無駄吠えが増えたりすることがあります。
毎日の散歩や頭を使った遊び(知育玩具など)は、性格を安定させるために不可欠です。
性格を活かしたしつけのポイント:賢すぎるゆえの注意点
トイプードルの賢さを活かせば、複雑な芸やマナーを驚くほど早く覚えさせることができます。
しかし、その過程で大切なのは、**「力による支配」ではなく「信頼関係と褒めるしつけ」**です。
効果的なしつけのポイントを整理しました。
しつけがうまくいかないと感じる場合、その原因の多くは犬側ではなく、飼い主側の指示が不明瞭であることにあります。
トイプードルは常に飼い主を観察しているということを忘れないでください。
よくある質問
Q:トイプードルは無駄吠えが多いと聞きますが、性格のせいですか?
A:トイプードルは警戒心が強く、賢いため、物音に対して反応しやすい傾向はあります。
しかし、これは「性格」というよりも、吠えることで飼い主が反応してしまった「学習の結果」であることが多いです。
幼少期からの社会化訓練と、要求に対しては応じないという一貫した態度で、多くの場合コントロール可能です。
Q:多頭飼いをする場合、トイプードルの性格的に相性は良いですか?
A:社交的な性格なので、基本的には多頭飼いに向いています。
ただし、トイプードルは飼い主の愛情を独占したいという欲求が強いため、先住犬を優先して可愛がるなどの配慮が欠かせません。
相性としては、穏やかな性格のブラックやホワイト、または自立心のあるメスの方がスムーズに馴染みやすいと言われています。
Q:高齢者でもトイプードルの性格をコントロールできますか?
A:はい、可能です。トイプードルは従順で力がそれほど強くないため、高齢の方のパートナーとしても最適です。
ただし、運動欲求はそれなりにあるため、毎日の散歩が負担にならないか、または室内で十分に遊んであげられるかを考慮する必要があります。賢いため、落ち着いたトーンでの指示をよく理解してくれます。
Q:小さい子供がいる家庭でもうまく馴染めますか?
A:基本的には遊び好きで友好的なので、子供の良いパートナーになれます。
ただし、トイプードルは体が華奢で骨が細いため、子供が不用意に強く抱きしめたり叩いたりすると、骨折などの怪我につながる恐れがあります。
また、独占欲が強いため、飼い主さんが子供ばかりに構っていると嫉妬してストレスを抱えることもあります。
子供と犬の間に「触る時は座って優しく」などのルールを設け、必ず大人が見守る環境が必要です。
Q:一人暮らしで、日中仕事に出ても大丈夫ですか?
A:可能です。
しかし、前述の通り寂しがり屋な性格なので、最初から長時間の留守番は大きなストレスになります。子犬の頃から短時間の留守番を繰り返し、「飼い主は必ず帰ってくる」と学習させることが重要です。
帰宅後はスマホを見ずに全力で遊んで愛情を注いでください。留守番中の退屈しのぎに、長く噛めるおやつや知育玩具を活用するのも効果的です。
Q:成長すると性格は落ち着きますか?
A:はい、大きく変化します。
特に1歳までの「パピー期」は好奇心旺盛で、ハイパーな行動や甘噛みが多いですが、2〜3歳を過ぎると精神的に成熟し、驚くほど落ち着いた「大人の犬」になります。逆に言えば、子犬期のやんちゃさは一時的なものなので、根気強くしつけを続けることが大切です。
シニアになると運動量は減りますが、頑固さや、飼い主への依存度(甘えん坊な面)がより強くなる傾向があります。
まとめ
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トイプードルは全犬種中2位の知能を持ち、非常に賢く愛情深い性格である。
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毛色によって性格の傾向があり、ブラック・ホワイトは穏やか、レッド系は活発な傾向がある。
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オスは甘えん坊で素直、メスは自立心が強く落ち着いていることが多い。
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賢すぎるゆえに「ずる賢さ」や「分離不安」に注意が必要で、一貫したしつけが重要である。
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信頼関係をベースにした「褒めるしつけ」により、最高のパートナーに成長する。
トイプードルは、その高い知能と深い愛情で、私たちの生活に計り知れない喜びをもたらしてくれます。
彼らの性格を正しく理解し、適切なコミュニケーションをとることで、トイプードルは単なるペットを超えた、かけがえのない家族の一員となってくれるはずです。
豊かな感情を持つ彼らのサインを逃さず、愛情を持って向き合ってあげてください。























「褒める」を基本にする:トイプードルは飼い主の笑顔や褒め言葉が何よりのご褒美です。良い行動をした瞬間に、大げさなくらい褒めてあげましょう。
一貫したルールを作る:家族の中でルールがバラバラだと、賢いトイプードルは混乱し、自分の都合の良いように振る舞うようになります。
頭を使う遊びを取り入れる:単純な散歩だけでなく、室内で「宝探しゲーム」をしたり、知育玩具を使ったりすることで、高い知能を満足させてあげることが大切です。
社会化を怠らない:子犬の頃から様々な音、場所、人、他の犬に慣れさせることで、神経質な性格が強まるのを防ぎ、どこへでも連れて行ける良きパートナーになります。