犬の目の異常は病気のサイン?症状チェックリストとケア方法を徹底解説

「愛犬の目が最近白くなってきた気がする」「充血していて目やにが多い」と不安を感じていませんか？

犬の目は、言葉を話せない彼らにとって健康状態を伝える重要なバロメーターです。

加齢による自然な変化であれば問題ありませんが、中には失明や激しい痛みを伴う緊急性の高い病気が隠れていることもあります。

この記事では、飼い主さんがすぐに確認できる症状チェックリストから、白内障などの主な目の病気、そして日常のケア方法までを網羅しました。

さらに、愛犬との絆を深めるためのアイコンタクトの心理についても解説します。

愛犬のキラキラした瞳を守るために、ぜひ最後までご覧ください。

 

犬の目の異常サイン：病院へ行くべき症状チェックリスト

愛犬の目に少しでも違和感がある場合、それは病気のサインかもしれません。

ここでは、飼い主さんが自宅で確認できるポイントを症状別に解説します。

 

目が赤い・充血している

白目の部分や粘膜が赤く充血している場合、炎症が起きている可能性が高いです。

考えられる原因：

• 結膜炎：細菌やウイルス、アレルギーなどが原因で、まぶたの裏側や白目が赤くなります。

• 興奮・運動後：一時的な血流増加によるものであれば、安静にして引く場合は問題ありません。

• 緑内障：眼圧が上がり、激しい痛みとともに目が赤くなります。失明の危険がある緊急疾患です。

注意点：

赤みが数日続く、片目だけ赤い、目を痛がる様子がある場合は、すぐに動物病院を受診してください。

 

目が白い・濁っている

黒目の部分（水晶体や角膜）が白く濁って見える現象は、飼い主さんが最も気づきやすい変化の一つです。

考えられる原因：

• 白内障：水晶体が白く濁り、視力が低下します。

• 核硬化症：加齢により水晶体が硬くなり、青白く見えますが、視力には影響しません。

• 角膜の傷：散歩中の草木やケンカなどで角膜が傷つくと、その部分が白く濁ることがあります。

結論：

「年だから」と自己判断せず、白内障か核硬化症かの診断を受けることが重要です。

 

目やに・涙が多い

目やには、体の代謝物やごみが出る生理的なものと、病気によるものがあります。

病的な目やにの特徴：

• 黄色や緑色：細菌感染の疑いがあります。

• 量が異常に多い：目が開かないほど出る場合は要注意です。

• 粘り気が強い：ドライアイなどの可能性があります。

涙が多い場合：

涙が溢れて目の下が濡れる「流涙症（涙やけ）」は、鼻涙管の詰まりやアレルギーが原因の場合があります。

 

目をしょぼしょぼさせる・こする

愛犬が前足で目をこすったり、床に顔をこすりつけたりする仕草は、「痒み」や「痛み」のサインです。

リスク：

目をこすることで角膜を傷つけ、症状が悪化する恐れがあります。エリザベスカラーなどで物理的に保護し、早急に受診しましょう。

 

犬の目に関わる主な病気と原因

犬がかかりやすい代表的な目の病気について、その特徴と原因を詳しく解説します。

 

白内障と核硬化症の違い

この2つは見た目が似ていますが、治療の必要性が大きく異なります。

目が白くなったからといって必ずしも失明するわけではありません。獣医師による正しい診断を受けることで、適切な対策が取れます。

 

結膜炎・角膜炎

結膜炎は、まぶたの裏側にある結膜が炎症を起こす病気です。

角膜炎は、黒目の表面（角膜）に炎症が起きる病気です。

原因：

• 散歩中の異物（ホコリ、種など）

• シャンプー液の誤入

• アレルギー（花粉、ハウスダスト）

• 逆さまつげの刺激

これらは放置すると慢性化しやすいため、早めの点眼治療が必要です。

 

緑内障（緊急度高）

眼球内部の圧力（眼圧）が異常に高くなる病気です。視神経が圧迫され、視野が欠けたり、最終的には失明したりします。

特徴的な症状：

• 目が飛び出しているように見える

• 激しい痛みで元気がなくなる

• 白目が充血して赤黒くなる

結論：

緑内障は進行が非常に早く、発症から数日で失明することもあります。少しでも疑わしい場合は、夜間救急を含めて直ちに行動してください。

 

ドライアイ（乾性角結膜炎）

涙の量が減少し、目の表面が乾燥してしまう病気です。

デメリット：

涙による保護機能がなくなるため、角膜が傷つきやすくなり、結膜炎や角膜炎を併発します。

また、黄色くネバネバした目やにが特徴です。生涯にわたる点眼ケアが必要になることが多い病気です。

 

犬の目から読み取る気持ちとアイコンタクト

犬にとって目は、視覚情報の入り口であるだけでなく、飼い主さんとのコミュニケーションツールでもあります。

 

アイコンタクトの意味と信頼関係

犬が飼い主さんの目をじっと見つめるのは、信頼と愛情の証です。

メリット：

見つめ合うことで、犬と人の両方の脳内で「オキシトシン（愛情ホルモン）」が分泌されることが科学的に証明されています。アイコンタクトはしつけの基本であり、愛犬との絆を深める最も簡単な方法です。

 

目をそらす心理

叱られている最中などに犬がふいっと目をそらすのは、「無視」ではありません。

心理：

• 「敵意はありません」というカーミングシグナル（落ち着くための合図）

• 緊張やストレスを感じて、自分と相手を落ち着かせようとしている

無理に目を合わせようとせず、愛犬の気持ちが落ち着くのを待ってあげましょう。

 

白目の部分が見える時の心理

上目遣いや横目で、白目の部分（強膜）が大きく見える状態は、緊張や不安、恐怖を感じているサインであることが多いです（「ホエールアイ」と呼ばれます）。

特に、おもちゃや食事を守っている時や、知らない人が近づいた時にこの目をした場合は、不用意に触ると噛まれる危険性があるため注意が必要です。

 

愛犬の目を守るための日常ケアと予防

愛犬の視力を長く守るためには、日頃のケアとチェックが欠かせません。

 

正しい目やにの取り方

乾燥して固まった目やにを無理に指で取ろうとすると、皮膚やまつげを傷つけてしまいます。

手順：

1. ぬるま湯で湿らせたコットンやガーゼを用意する。

2. 目やにの部分に当てて、少しふやかす。

3. 優しく拭き取る。

注意点：

ティッシュペーパーは繊維が粗く、目を傷つける可能性があるため避けてください。

 

点眼薬（目薬）のさし方のコツ

病院で目薬を処方された場合、嫌がる犬も多いです。

成功のポイント：

• 後ろからさす：正面から容器が見えると怖がるため、犬の後ろ側に回り込み、頭を少し上に向けてさします。

• 容器を当てない：容器の先が目やまぶたに触れないように注意しましょう。

• ご褒美：終わったらすぐにおやつを与え、「目薬＝良いこと」と学習させます。

 

目の怪我を防ぐ環境づくり

室内：

• 家具の角にクッションガードをつける（特に視力が落ちた老犬の場合）。

• 床に物を置かないようにする。

散歩中：

• 草むらに顔を突っ込ませない（植物による外傷を防ぐ）。

• 風の強い日は砂埃に注意する。

特にパグやシーズーなどの短頭種は、目が大きく突出しているため傷つきやすい傾向があります。より一層の注意が必要です。

 

よくある質問（FAQ）

人間の目薬を使っても大丈夫？

絶対に使用しないでください。

人間用の目薬には、メントールなどの刺激成分や、犬にとって強すぎる成分が含まれている場合があります。必ず動物病院で処方されたものを使用してください。

 

犬の目が暗闇で光るのはなぜ？

犬の網膜の裏には「タペタム」という反射層があるためです。

わずかな光を反射・増幅させて視神経に届ける構造になっており、これにより犬は暗い場所でも人間よりはるかによく物を見ることができます。

 

目薬をさす順番はある？

複数の目薬を処方された場合は、5分程度の間隔を空けてさしてください。

続けてさすと、先にさした薬が後の薬で洗い流されてしまい、効果が薄れるためです。獣医師から指定された順番がある場合はそれに従いましょう。

 

老犬の目が白くなるのは予防できる？

老化現象（核硬化症）は予防できませんが、白内障は早期発見・治療が重要です。

抗酸化作用のあるサプリメントなどが推奨されることもありますが、効果には個体差があります。定期的な検診で目の状態をチェックすることが最良の対策です。

 

「チェリーアイ」ってどんな病気？

目頭にある「瞬膜（第三眼瞼）」が赤く腫れて飛び出してくる病気です。

サクランボのように見えることからこう呼ばれます。自然治癒は難しく、炎症やドライアイの原因になるため、整復手術などの治療が必要です。

 

まとめ

犬の目は、健康状態や感情を映し出す鏡です。

• 赤い目は炎症や緑内障のサイン。

• 白い目は白内障や核硬化症の可能性。

• 目やにや涙の変化も見逃さない。

• アイコンタクトは信頼関係の証。

「いつもと違うな」と感じたら、様子を見すぎずに動物病院に相談することが、愛犬の視力を守るカギとなります。

まずは今日、愛犬と見つめ合いながら、目の色や輝きを優しくチェックしてあげてください。